四千頭身 特集:脱力系漫才で人気の若手お笑いトリオ
四千頭身とは?
四千頭身(よんせんとうしん)は、ワタナベエンターテインメント所属の3人組お笑いトリオです。2016年に結成され、お笑い第7世代を代表する存在として注目を集めています。日常会話のようなグダグダ感のある掛け合い漫才を得意とし、その力の抜けた独特の芸風は「脱力系漫才」と称されています。友人同士の何気ない会話からボケとツッコミが展開していくスタイルで観客を笑わせるのが特徴で、若者を中心に支持を集めています。
四千頭身の3人は等身大の会話劇で笑いを生み出す実力派です(左から石橋遼大、後藤拓実、都築拓紀)。そのリラックスした漫才は、中高生を中心に「身近で親しみやすい」と人気沸騰中です。デビュー当初からテレビやYouTube、ライブで活躍し、今やお笑いファンなら誰もが知る存在となりました。
メンバー紹介
四千頭身のメンバーは、都築拓紀・後藤拓実・石橋遼大の3人です。それぞれのプロフィールとキャラクターを見てみましょう。
都築 拓紀(つづき ひろき)
1997年3月20日生まれ、茨城県出身。四千頭身では主にボケ担当で、自由奔放かつマイペースなキャラクターです。学生時代からお笑いに情熱を注ぎ、ワタナベコメディスクールで後藤・石橋と出会いました。明るく天真爛漫なボケで場をかき乱しつつも、ネタによってはツッコミ役に回る柔軟さも持ち合わせています。大のラジオ好きとしても知られ、自身の冠ラジオ番組を持つなど個人活動でも才能を発揮しています。
後藤 拓実(ごとう たくみ)
1997年2月6日生まれ、岩手県出身(埼玉県朝霞市育ち)。トリオの中心人物でネタ作り担当。冷静沈着で洞察力があり、主にツッコミ役として二人のボケに低めのテンションで突っ込むのが持ち味です。的確なツッコミで漫才をまとめあげる頭脳派であり、その腕前は同業の先輩からも評価されています。実際、本人は憧れのツッコミ役としてダイアン・津田篤宏の名前を挙げており、そのスタイルに影響を受けています。近年では執筆活動にも取り組み、エッセイ集を出版するなど多才ぶりを発揮しています。
石橋 遼大(いしばし りょうだい)
1996年9月13日生まれ、東京都出身。愛称は「バシ」で、トリオ最年長。朴訥とした雰囲気で、一見大人しそうに見えますが実は天然ボケ担当です。漫才では発言が少なめでマイペースにボケを繰り出し、独特の間合いで笑いを生み出します。存在感の薄さをいじられることもありますが、それすら笑いに変えるポテンシャルの持ち主です。趣味は筋トレや相撲観戦など多彩で、最近ではスポーツ栄養プランナーの資格を取得するなど向上心も旺盛です。寡黙ながらここぞという場面で放つ一言の破壊力はトリオに欠かせないスパイスとなっています。
結成の経緯とブレイクのきっかけ
3人はワタナベコメディスクール22期生として出会い、在学中の2016年に四千頭身を結成しました。実は最初から3人だったわけではなく、都築と後藤は別のメンバーを含むトリオで活動していましたが、人間関係の不和や方向性の違いにより解散。後藤は一時、石橋とコンビを組むも「石橋は見た目に反してボケ志向」という意外な事実が判明しツッコミ不在でうまくいかず解散。そこで2015年秋、後藤と都築が再合流し「トリオのネタがあるから石橋も誘おう」という流れで現在の3人が揃いました。石橋自身、「雇ってもらった身」と冗談めかして語るほど偶然が重なった結成エピソードです。
トリオ名「四千頭身」の由来もユニークです。スクール時代、写真を使った大喜利練習中に石橋が後藤へ『ドラゴンボール』の神龍(シェンロン)の画像を送り、それに対し後藤が「(神龍は)四千頭身」とボケた一言が強く印象に残ったことから名付けられました。他では聞いたことのないインパクトある名前が誕生した瞬間でした。
ブレイクのきっかけは地道な努力と幸運が重なった結果でした。スクール在学中はライブで優勝を重ね、卒業と同時に事務所所属を勝ち取ります。2016年末放送のフジテレビ特番『新しい波24』でテレビ初出演を果たしネタを披露すると、大きな反響を呼びました。実はこの時、後藤が体調不良で声に力がない状態でしたが、その脱力した漫才が「新鮮で面白い」とウケたことで、現在の脱力系芸風が確立されたというエピソードもあります。以降、若手芸人ブームの第7世代の中心格として徐々に知名度を上げ、2018年には事務所ライブ「WEL NEXT」のMCに大抜擢。さらに2019年のM-1グランプリでは準決勝進出を果たし、実力派トリオとしてお茶の間にも名前が浸透しました。こうした活躍が重なり、「四千頭身」は一躍ブレイク芸人として脚光を浴びるようになったのです。
芸風とネタの特徴
四千頭身の芸風は前述の通り「脱力系漫才」と呼ばれます。その名の通り力が抜けたようなゆるいやり取りが持ち味ですが、実は計算し尽くされた笑いが詰まっています。主に漫才を軸に活動していますが、コント(寸劇)を演じることもあります。ネタ作りは後藤が担い、ネタの内容はまるで仲の良い友達同士の何気ない会話がそのまま展開していくようだと言われます。都築と石橋の天真爛漫なボケに対し、後藤があえてローテンションでツッコミを入れながら会話を転がしていくスタイルで独特の笑いを生み出しています。「力の抜けた会話劇」とも評されるその漫才は、肩肘張らずクスッと笑える心地よさが魅力です。
ネタの多くは日常にあるテーマや遊びを題材にしています。実際、トリオ結成後に初めて3人で作ったネタは、しりとりを逆から行う「頭取りゲーム」でした。一見地味なしりとり遊びを「つまらないことをいかに面白くするか」という発想で膨らませ、爆笑ネタへと昇華させています。他にも「ことわざゲーム」「ブログを書きたい」など、身近な題材を斜め上の発想で料理した漫才が数多くあります。例えば有名なネタ「ことわざゲーム」では、ことわざの一部を勝手に作り替えるボケを連発し、予測不能な展開で笑いを誘います。オチに向かうまで淡々と進む掛け合いの中で、不意に繰り出されるシュールなボケの数々に思わずクスッとさせられるでしょう。
また、ネタごとに3人の役割が入れ替わる点も特徴的です。通常は後藤=ツッコミ、都築・石橋=ボケの構図ですが、ネタによっては都築がツッコミに回ったり、後藤と都築がダブルツッコミで石橋のボケをいじり倒すパターンもあります。中には都築と後藤だけで会話が進み、石橋は相槌程度しか喋らないようなネタも存在します。このように毎回異なるバランスで笑いを作れるのも彼らの強みであり、観る側を飽きさせません。独特の“間”(タイミング)と3人の空気感を最大限に活かした四千頭身のネタは、一度ハマると病みつきになる面白さがあります。
出演歴と主な活動
四千頭身はテレビ、ラジオ、ネット配信、ライブなど多方面で活躍してきました。その出演歴と主な活動をジャンルごとに紹介します。
お笑い界での評価と影響
四千頭身は業界内でも独自のポジションを確立しています。脱力系の笑いは先輩芸人から「新しい笑いの形」として評価され、同世代の芸人からも一目置かれる存在です。漫才師としての実力は各種大会の成績が物語っており、M-1グランプリでは惜しくも優勝こそないものの準決勝進出を果たすなど着実な成果を残しています。これは実力派ぞろいの第7世代の中でもトップクラスの実力と言えるでしょう。
本人たちも常に研鑽を積んでおり、影響を受けた芸人として後藤はダイアンの津田篤宏を尊敬していると語っています。鋭いツッコミで知られる津田から学んだエッセンスを後藤は自身の漫才にも活かしており、先輩の良い部分を吸収する貪欲さがうかがえます。また、都築と石橋もそれぞれ好きな芸人のスタイルを研究しており、例えば石橋はコント職人の先輩芸人からボケの間合いを学ぶなど地道にスキルを磨いています。こうした姿勢もあって、先輩・同輩問わず「将来が楽しみなトリオ」として期待を寄せられています。
一方で四千頭身自身が後輩世代に与える影響も出始めています。脱力系漫才というスタイルは彼らの代名詞となり、最近では「四千頭身のような力を抜いた笑い」を目指す若手芸人が現れるほどです。実際、彼らの成功は高卒・20代でもテレビやラジオで活躍できることを証明し、夢を与えていると言えるでしょう。後藤が高級車のAudiを購入した際には「高卒でもここまで登ってこれる」と後輩に夢を見せたいと語ったエピソードもあります。また、同世代の芸人では宮下草薙をライバル視していることを公言しており、お互い刺激し合いながら切磋琢磨しているようです。こうした良きライバル関係はお笑い界全体を盛り上げる原動力になっています。
総じて、四千頭身はその独創的な漫才スタイルで業界内外から高い評価を受け、次世代への影響も及ぼし始めています。「お笑い第7世代」の中でも異彩を放つ存在として、これからもシーンをリードしていくことでしょう。
最近の活動と今後の展望
結成から数年が経ち、四千頭身の活動にも少しずつ変化が見られています。デビュー直後はテレビ出演やライブで引っ張りだこでしたが、ここ数年は仕事量がピーク時より減少傾向にあるとも報じられました。実際、2023年前後にはテレビで見かける頻度が一時期より減ったとの声もあります。しかし、その時間を無為にしていたわけではありません。それぞれが個々の活動やスキルアップに力を入れ、新たな挑戦を始めているのです。
後藤拓実は、レギュラー番組が落ち着いたタイミングで執筆業に乗り出しました。2021年には自身初のエッセイ本『これこそが後藤』を出版し、2024年には連載コラムをまとめた著書『安心できる男』を刊行予定です。また、趣味の音楽や映画の分野でトークイベントに出演するなど、お笑い以外のフィールドにも活動の幅を広げています。収入減に伴い高級タワーマンションから引っ越すという生活の変化もありましたが、「もっと地に足の着いた生活でお笑いと向き合いたい」という前向きなコメントを残しており、創作意欲は健在です。
都築拓紀は、自身の趣味や特技を活かした個人活動に精を出しています。もともとゲームやアニメが大好きなオタク気質で知られる都築は、関連イベントや配信番組への出演機会が増えました。さらに2023年からは大阪のラジオ番組でパーソナリティを務め、念願だったラジオの世界でも活躍中です。「ラジオのためなら命も惜しまない!」と語るほどラジオ愛が強い都築だけに、その熱量が番組にも反映され好評を博しています。またファッションにも造詣が深く、自身でデザインしたグッズをファンイベントで販売するなど多才な一面も見せています。今後はクリエイターとしての活動にも挑戦していきたいと意欲を燃やしています。
石橋遼大は、これまで控えめだった個人活動を徐々に増やしています。趣味の筋トレを活かしフィットネス関連の企画に参加したり、2021年には日本テレビ系ドラマ『コントが始まる』に俳優としてカメオ出演し地上波ドラマデビューも果たしました。2023年には前述のスポーツ栄養プランナー資格を短期間で取得し、そのストイックさが話題になりました。これを機に健康やスポーツ分野での仕事にも意欲を見せており、「お笑い芸人・石橋遼大」の新たなキャラクター形成に努めているようです。飄々とした見た目とのギャップを武器に、バラエティのみならずマルチな才能を発揮し始めています。
肝心のトリオとしての活動も、地道に続けられています。YouTubeチャンネルでは引き続き定期的に動画を公開し、新ネタ披露の場として活用中です。また、不定期ではありますが単独ライブも開催し、新作漫才やコントをファンの前で披露しています。テレビの露出が減ったとはいえ、FM FUJI『四千ミルク』などのレギュラーは堅持していますし、ローカル番組やネット配信番組への出演もコンスタントに行っています。むしろ派手さを抑え、自分たちのペースでコツコツと笑いを届ける姿は四千頭身らしさそのものです。
今後の展望として、ファンや業界関係者は「もう一段階のブレイク」を期待しています。具体的には、もう一度全国ネットのネタ番組や賞レースで結果を残し、お茶の間の人気を不動のものにすることが目標の一つでしょう。本人たちもインタビューで「いつかM-1の決勝の舞台に立ちたい」と語っており、漫才師として頂点を目指す意欲を示しています。さらに、「それぞれの個性を活かした番組を持ちたい」という願望もあるようです。例えば都築であればゲーム・アニメ企画、後藤はトーク番組、石橋は体当たりロケ企画など、得意分野を活かした活躍が期待できます。三者三様の個性があるからこそ、バラエティに富んだ展望が描けるのは四千頭身の強みと言えます。
「脱力系漫才」で一時代を築いた彼らが次にどんな笑いを見せてくれるのか――。現状に甘んじず模索を続ける四千頭身のこれからの挑戦から目が離せません。
四千頭身の魅力とファンの声
最後に、四千頭身の魅力とファンの声についてまとめます。彼らの一番の魅力は何といっても親しみやすさでしょう。まるで自分たちの身近にいそうな友人同士の会話を盗み聞きしているような感覚になる漫才は、「肩の力を抜いて笑える」と幅広い層のファンに受け入れられています。特に若い世代からの支持が厚く、中高生を中心に「学校の休み時間のノリみたいで面白い!」「身近な話題なのに発想が独特でクセになる」といった声が多く聞かれます。難しい知識や派手な演出がなくても、等身大のトークでここまで笑わせてくれる彼らに共感と好感を抱く人が多いのです。
ファンの愛称があるのも四千頭身ならではです。女性ファンは「四千ガール」、男性ファンは「四千ボーイ」と呼ばれ、ライブ会場やSNS上で自称する人も見られます。こうしたファンコミュニティの盛り上がりもトリオの魅力の裏付けでしょう。SNSでは四千頭身のネタ動画が拡散されたり、ハッシュタグ「#四千頭身」で感想が飛び交ったりと、その人気ぶりが伺えます。「#四千頭身ネタ」で検索すると、好きな漫才のタイトルを挙げて語り合う投稿や、「何度見ても笑える!」という絶賛のコメントが多数見つかります。中には「落ち込んだときに四千頭身の動画を見ると元気が出る」といった声もあり、彼らの笑いが日々の癒やしや活力になっていることが伝わってきます。
また、三人の仲の良さもファンにとっては微笑ましいポイントです。プライベートでも一緒にゲームをしたり旅行に行ったりするほど仲が良いとされ、そのエピソードがラジオや配信で語られるたびに「本当に仲良しで和む」と評判です。都築がボケで暴走しても後藤が淡々と受け止め、石橋がマイペースにマイペースにマイペースを貫く――そんな絶妙な三角関係が「見ていて安心する」「ほっこりする」という声もあります。トリオならではの空気感がそのまま魅力になっていると言えるでしょう。
さらに、ファンとの距離が近いことも魅力の一つです。YouTubeのコメント欄ではメンバー自らファンに返信することもあり、親近感を抱いたファンが長く応援し続ける傾向があります。イベントや握手会でも丁寧に対応してくれると評判で、「ファンサービスが良い」という声も少なくありません。こうした積み重ねが信頼関係を築き、四千頭身は着実にコアなファン層を増やしてきました。
総じて、四千頭身の魅力は「等身大」であることに尽きます。奇をてらわず、自分たちのキャラクターそのままで勝負するスタイルが見る者の心を掴みます。シュールでありながらどこか温かみのある笑いは、一度ハマると抜け出せない中毒性があります。ファンの声に耳を傾けながら進化を続ける彼らは、お笑いファンにとってこれからも目が離せない存在でしょう。「四千頭身」の今後の活躍に期待しつつ、その唯一無二の笑いをこれからも楽しみたいですね。