とろサーモン特集|結成秘話・代表ネタ・M-1優勝エピソードから現在まで

2/28/2025
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とろサーモンは、2002年に結成された吉本興業所属の漫才コンビで、宮崎県宮崎市出身の村田秀亮(むらた ひであき)と久保田かずのぶからなります。第13代目のM-1グランプリ2017王者として一躍全国区の知名度を得た実力派で、その独特の芸風と波乱万丈な経歴で多くのお笑いファンを魅了してきました。本記事では、とろサーモンの結成秘話から代表的なネタ芸風の特徴、そしてM-1優勝時のエピソードとその後の影響、さらにテレビ・YouTube・ライブなど現在の活動ファンや業界からの評価、最後に今後の展望や期待まで、余すところなく紹介します。漫才好きなら知っておきたいとろサーモンの魅力に迫ります。

Notion Image (File via Proxy)

結成秘話:高校時代の約束からコンビ結成へ

とろサーモンの2人は地元・宮崎県の同じ高校(宮崎日本大学高等学校)で出会いました。高校卒業後に2人で吉本興業の養成所であるNSC大阪校に入学しようと約束して上京しますが、久保田かずのぶは入学試験で他の受験者への質問にまで勝手に答えてしまうという“ボケ”をかまして不合格となってしまいます。その結果、村田秀亮だけがNSCに合格し、久保田は1年間アルバイト生活を送りながら翌年改めてNSCに合格しました。こうして少し遅れて再会した2人でしたが、すぐにコンビを組んだわけではありません。

久保田はNSC在学中から卒業後にかけて何度もコンビを結成しては解散を繰り返し、相方が次々と変わる日々を送っていました。そんな中、「本当は村田と組みたい」という思いを募らせた久保田は、ついに村田へ熱い手紙を書いてコンビ結成を直訴します。その手紙は「俺と夢を見ないか」という一文で始まり、「自由って一体何だ?」「お前のツッコミと俺の計算された細かい天才的なボケ…」といった情熱的な内容が綴られており、最後は「返事は5日の晩7時にいつものうどん屋で」とドラマさながらの締めくくりでした。村田はこの手紙に心を動かされ、2002年7月に念願のコンビ「とろサーモン」を結成する運びとなります。

コンビ名「とろサーモン」の由来について本人たちは、「売れている先輩芸人に魚の名前がついている人が多かったから」と語っています(例えば明石家さんまさん、池乃めだかさんなど)。宮崎出身の2人が東京や大阪で勝負するにあたり、インパクトのある名前で縁起を担ごうと考え、「とろサーモン」と名付けたとのことです。こうして誕生したとろサーモンは、下積み時代を大阪で過ごしながら徐々に頭角を現していきました。


とろサーモンの代表ネタと芸風の特徴

とろサーモンの芸風は主に漫才で、結成当初はコントも演じていましたが現在は漫才一筋です。舞台では宮崎出身ながら大阪で活動していた影響で自然と関西弁を使用し、役割はボケ担当の久保田とかぶせツッコミ主体の村田というオーソドックスなスタイルです。村田が話を振り、久保田が少しひねくれたボケで返す漫才スタイルは、「村田秀亮のネタ振りに久保田かずのぶが無愛想にボケを返す」と評される独特の空気感を生み出します。ここでは彼らの代表的なネタや特徴的な漫才スタイルをいくつか紹介します。

  • スカシ漫才
  • ボイスパーカッション&スクラッチ漫才
  • 万引きGメン
  • 石焼き芋屋(芋神様)
  • これら以外にも、漫才中に突然久保田が架空の格言や俳句を朗々と語って自分で「はっ!?」と我に返り、村田に「こっちのセリフや!」とツッコまれるボケや、漫才の締めの「もうええわ」を強引に遮って久保田が「続行!」「フォーエバー!?」などと叫び無理矢理続けようとするお約束など、細部にまで練り込まれた笑いのパターンも彼らの漫才の魅力です。シュールな発想と王道のボケ・ツッコミを融合させた芸風で、長年お笑いファンを唸らせてきました。


    M-1グランプリ優勝のエピソードとその影響

    漫才師にとって最大の登竜門であるM-1グランプリ。とろサーモンも2003年の初挑戦以来、毎年のように準決勝まで勝ち進む実力を持ちながら、長らく決勝戦の舞台に手が届かない日々が続きました。迎えた結成15年目で出場資格ギリギリとなる2017年、背水の陣で挑んだ彼らはついに悲願の決勝初進出を果たします。この年ダメなら芸人を引退して地元宮崎に帰り、父親の仕事を継ごうとまで覚悟していたといいます。まさにラストチャンスとなったM-1グランプリ2017で、とろサーモンは持てる力を全て出し切りました。

    本番の決勝戦ファーストラウンドでは、審査員7名中6名から「90点以上」という高得点を引き出し3位で最終決戦に駒を進める健闘を見せます。最終決戦ではトップバッターというプレッシャーのかかる順番ながら、渾身の「石焼き芋の芋神様」ネタで会場を爆笑の渦に包み、見事7人中4票を獲得して優勝に輝きました。ファーストラウンド3位通過のコンビが逆転優勝したのは大会史上初の快挙であり、また結成15年目でのラストイヤー優勝は2010年大会の笑い飯以来となる劇的な戴冠劇でした。

    優勝が決まった瞬間、漫才後に神様に祈るポーズをしていた久保田は震える手で天を指さし、「ジーザス!ありがとう神よ!」と絶叫。その目には涙が光り、相方の村田も「ずっと泥水ばかりすすってきたけど、今日吐き出して光を頂きました…」と感無量の面持ちで喜びを語りました。長年の苦労を知るファンにとっても、この瞬間は胸が熱くなるものだったでしょう。決勝当日の舞台裏ではハプニングもあり、ファーストラウンドの結果発表時に誤って「とろサーモン敗退」とアナウンスされるミスが発生しましたが、2人はすかさず「落ちてないぞ!」とアピールし場内の笑いを誘う一幕もありました。最後までとろサーモンらしいブレない姿勢が優勝に花を添えた形です。

    優勝後の反響は凄まじく、大会終了直後から彼らの携帯電話や所属事務所には仕事の依頼が殺到しました。M-1優勝特需で一夜にして売れっ子となった2人は、祝福ムードに浸る間もなくメディア出演に駆け回り、一気に全国のお茶の間へその名を知らしめました。地元・宮崎県でも彼らの快挙は大きく報じられ、県民栄誉賞級の扱いで迎えられています。宮崎ではM-1の生中継放送がなかったにもかかわらず優勝のニュースで大いに沸き、2人の功績を称えて宮崎空港には一時とろサーモンの優勝記念銅像が設置されたほどです。(後に久保田の発言を巡る騒動でひっそり撤去されてしまいましたが、それも含めて彼ららしいエピソードといえるでしょう。)

    M-1制覇によって得た知名度は計り知れず、とろサーモンはその後も多数のバラエティ番組や営業イベントに引っ張りだこになりました。特に優勝直後には各局の年末特番で漫才を披露し、凱旋帰郷した宮崎でのライブの様子がドキュメンタリー番組で特集されるなど、一年間は怒涛の活躍ぶりでした。もっとも、M-1優勝直後に久保田が配信番組で放った毒舌発言が物議を醸し、一時的にテレビ露出が減る逆風も経験しました。しかしその後は本人も猛省し活動を続けており、むしろ持ち前の“歯に衣着せぬキャラ”が話題性としてプラスに転じる場面も増えています。総じてM-1優勝は彼らの芸人人生を大きく変えた転機であり、苦労人コンビの劇的サクセスストーリーとして今なお語り草になっています。


    現在の活動:テレビ・YouTube・ライブでの活躍

    とろサーモンの現在の活動は多岐にわたっています。テレビのレギュラー番組では、地元九州朝日放送のバラエティ番組『とろサーモンのクズメンタリー』でMCを務めており、世の中の“クズ”な人々を独自の目線で深掘りするというユニークな企画で好評を博しています。この番組タイトルにもある「クズ」という言葉は、かつてテレビ『アメトーーク!』で久保田が「クズ芸人」と呼ばれたエピソードにちなむもので、自他共に認める破天荒キャラを逆手にとった企画と言えるでしょう。ほかにも村田・久保田それぞれピンでのテレビ出演も増えており、村田は演技力を活かしてドラマや舞台に客演したり、久保田は持ち前の話術でトーク番組やラジオパーソナリティとしても活躍しています。

    また、近年はお笑い芸人の多くがそうであるように、YouTubeチャンネルを開設してファンとの交流や新たな笑いの発信にも力を入れています。公式YouTubeチャンネルではコント仕立てのショート動画やドッキリ企画、漫才アドリブ企画などを精力的に更新中です。登録者数は10万人を超えており、テレビでは見せないようなゆるい日常トークから過激な企画までとろサーモンらしい笑いが楽しめるとファンから支持されています。さらに村田秀亮個人のYouTubeチャンネル「ムラTUBE」も開設されており、キャンプ好きという趣味を活かしたアウトドア企画や、相方の久保田や他芸人をゲストに迎えてのトーク配信など、多彩なコンテンツで注目を集めています。

    ライブ活動も欠かしていません。吉本興業の劇場公演や全国ツアーライブにも定期的に出演し、新作漫才やコントを披露しています。特に彼らはテレビで磨いた知名度を劇場ライブに還元しており、生の舞台でこそ味わえるアドリブ満載の漫才は「テレビで見るより何倍も面白い!」と評判です。毎年開催している単独ライブでは、過去の人気ネタのリメイクから最新の時事ネタを盛り込んだ漫才まで幅広く取り入れ、チケットは即完売となることもしばしばです。さらに地方営業やお笑いフェスにも積極的に参加し、全国各地のファンに直接笑いを届けています。

    このように現在のとろサーモンは、テレビ・ネット・劇場の三本柱で精力的に活動しています。M-1優勝直後のブーム的な露出は一段落したものの、その分地に足のついた活動で着実にファン層を広げていると言えるでしょう。特にYouTubeなど新媒体で若い世代のファンを掴みつつ、ライブで従来からの漫才ファンも楽しませるという両輪で、芸人人生の第2章を歩んでいます。


    ファンや業界からの評価

    長年苦労を積み重ねてきたとろサーモンは、その人間味あふれる経歴と確かな笑いの実力からファンやお笑い業界関係者から厚い支持を受けています。ファンからは「苦労人の遅咲きコンビ」として親しまれ、15年目で栄冠をつかんだ姿に勇気づけられたという声も多く聞かれます。また、独特のブラックユーモアや毒舌キャラを持つ久保田に対し、相方の村田が時に優しく時に厳しくツッコむ漫才スタイルは「まるで漫才版の黄金バディ」と評価され、コンビ仲の良さや信頼関係も含めて愛されています。

    一方で久保田はその強烈なキャラクターから、吉本ブサイク芸人ランキングで選出された経歴もあり、“イケメンではないけど憎めない愛されキャラ”としてコアな人気を博してきました。実際、M-1優勝前から彼らを推していたファンは「ようやく実力が世間に認められた!」と自分のことのように喜んだと言います。地元宮崎での人気も絶大で、凱旋ライブには地元の同級生や恩師も駆けつけ、県全体が生んだスターとして誇りに思われています。

    業界からの評価も非常に高く、漫才師としてのスキルは折り紙付きです。2006年にはABCお笑い新人グランプリで最優秀新人賞を受賞するなど若手時代からプロの目利きに才能を認められており、同世代の芸人たちからも一目置かれる存在です。とろサーモンの漫才は正統派の中に狂気をはらんだボケが光るスタイルで、「ザ・漫才」を愛する関西のベテラン勢からも評価が高い一方、シュールな笑いが好きな若手作家陣からも支持されるという、世代やタイプを超えてウケる強みがあります。

    もっとも、久保田の歯に衣着せぬ物言いが原因で一部から反発を買うこともありますが、それも含めて「尖った芸風」として肯定的に捉える向きが増えています。毒舌キャラとしては松本人志さんや有吉弘行さんらに通じるものがあり、「ポスト毒舌王」との呼び声も。村田についてはその真面目で朴訥とした人柄が「陰で支える名ツッコミ」として評価され、演技力やナレーション技術も高く買われています。実際、村田はNetflix配信のドラマ『火花』で売れない芸人役を演じた際もリアルすぎると話題になりました。総じて2人は対照的な個性を持ちながらプロとしての芯はぶれないコンビとして、ファンからの信頼も厚く業界内での評価も揺るぎないものがあります。


    今後の展望と期待

    結成から20年以上を経たいま、とろサーモンは中堅どころの芸人として更なる飛躍が期待されています。M-1王者という肩書きに甘んじることなく、「これからが本当の勝負」とばかりに新たな笑いに挑戦し続ける姿勢は健在です。今後の展望として考えられるのは、まず漫才師として更なる進化を遂げること。すでに漫才界のトップを極めた彼らですが、芸歴を重ね円熟味を増したことで新しい笑いの境地を切り拓く可能性があります。例えば、これまで封印してきたスカシ漫才のアップデート版に挑んだり、若手とのコラボ漫才で化学反応を起こすなど、新境地を見せてくれるかもしれません。漫才コンビとしての理想形を模索し続ける2人だけに、今後も予想の斜め上を行く笑いを届けてくれるでしょう。

    また、テレビやラジオでの活躍の幅も一層広がっていきそうです。現在MCを務める番組で培った回しのスキルや、YouTubeで見せる企画力は、今後さらに大きな番組や特番のメインMCなどに抜擢される足がかりとなるでしょう。お笑い第7世代以降の若手が台頭する中で、ベテランとして番組を仕切ったりプロデュース側に回る可能性もあります。実際、久保田はナレーションの仕事を多数こなしてきた実績があり、将来的には声の仕事や演出面で才能を発揮する場面も増えるかもしれません。村田も俳優業や趣味のキャンプ関連の仕事など、副次的なフィールドで新境地を開拓する意欲を見せています。コンビとしてはもちろん、ピンでの活動でもお互いが刺激を受け合い、それを漫才に還元していく好循環が期待できます。

    さらに、後進の指導や業界発展への貢献も展望として語られることがあります。NSCの先輩として後輩芸人の相談に乗ったり、ライブのプロデュースを手掛けるなど、培った経験を若い世代に伝えていく役割にも期待が寄せられています。実際、M-1優勝直後のインタビューで久保田は「自分を貫くことが大事」と後輩へのエールを送っており、その言葉通りブレない芸風で道を切り拓いてきた彼らの姿は若手にとって手本となるでしょう。

    最後に、ファンとして何より期待したいのは「これからもずっと面白い漫才を見せてほしい」ということに尽きます。苦楽を共に乗り越えてきたとろサーモンならではの絶妙なコンビネーションから生まれる笑いは、一度味わうと癖になる唯一無二のものです。テレビでも劇場でもネットでも、その笑いを届けてくれる場がある限り、我々はとろサーモンから目が離せません。これから先もさらなる活躍でお笑い界を盛り上げ、伝説となるようなエピソードを更新していってくれることでしょう。とろサーモンの今後に、大いに期待したいところです。


    参考サイト

  • とろサーモン (お笑いコンビ) - Wikipedia
  • ラジサマリー
  • M-1グランプリ2017王者お笑いコンビ「とろサーモン」 プレスリリース(PR TIMES)
  • デイリースポーツ online
  • 騒動で消えたとろサーモン像(withnews)
  • とろサーモンのクズメンタリー - KBC九州朝日放送
  • もう久保田が言うてるから仕方ないやん〆 - YouTube
  • とろサーモン村田のムラTUBE - YouTube
  • とろサーモン プロフィール|吉本興業株式会社
  • M-1グランプリ 公式サイト
  • マイナビニュース
  • この記事を書いた人

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    ネタフリ編集部

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