タイムマシーン3号 特集:結成の経緯から人気の理由まで徹底解説

2/28/2025
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タイムマシーン3号は、ツッコミ担当の山本浩司とボケ担当の関太からなるお笑いコンビです。2000年にコンビを結成し(所属は太田プロダクション)、NHK『爆笑オンエアバトル』で満点勝利を達成するなど早くから注目を集めました。その後も『M-1グランプリ』や『キングオブコント』といった大会でファイナリストになるなどキレのある漫才・コントで各賞レースで好成績を残しています。近年ではテレビの人気バラエティ番組に引っ張りだこで、公式YouTubeチャンネルも登録者数100万人を突破するなど新たなファン層を獲得しています。本特集では、タイムマシーン3号の経歴から芸風、代表的なネタ、そして最近の活動人気の理由まで、その魅力を詳しく解説します。

Notion Image (File via Proxy)

経歴:結成の経緯と活動の転機

二人は東京アナウンス学院のお笑い科で知り合いましたが、クラス40人中38人はすでにコンビを組んでおり、残った山本と関が先生に「じゃあ、お前とお前で組め」と半ば強制的に組まされたのが始まりです。こうして2000年4月にタイムマシーン3号が結成されました。

結成後の下積み時代、彼らは主戦場としたNHK『爆笑オンエアバトル』で頭角を現します。持ち前の実力で観客投票による満点(545KB)を獲得した数少ないコンビの一つとなり、“客ウケ”の良さでは同世代随一との評価を得ました。2005年には結成5年目にして早くも漫才日本一決定戦『M-1グランプリ2005』で決勝進出(結果7位)を果たし、若手実力派として注目されます。しかしこの初のM-1決勝で“容姿イジり”を全面に出した漫才が振るわず、「高い壁にぶつかった」ことで自信を喪失。以降しばらく大会で結果を残せないスランプ時代が続きました。

そんな中、大きな転機となったのが事務所の移籍です。タイムマシーン3号は当初アップフロント系列の事務所に所属していましたが、2013年に現在の太田プロダクションへ移籍します。当時所属していた事務所には先輩芸人がほとんどおらず、漫才の悩みを相談できる相手もいなかったことから模索が続いていました。移籍後は事務所ライブ「月笑」に毎月出演し、新ネタを量産する環境に身を置いたことで漫才スタイルが大きく変化します。周囲の先輩から「ウケるんだから変にひねらず、そのままウケを取ればいい」とアドバイスを受け、得意の“デブネタ”を解禁して関の体型を全面に押し出す戦法に舵を切りました。この方針転換が功を奏し、移籍から2年後の2015年には10年ぶりに『M-1グランプリ2015』決勝進出(結果4位)を果たします。翌2016年の『キングオブコント』でも決勝4位入賞と連続で快挙を成し遂げ、見事に復活を遂げました。さらにNHK『オンバト+』第2回チャンピオン大会では優勝(2012年)を飾るなど、長年の努力が形となって表れています。


芸風:ツッコミとボケの特徴と笑いのスタイル

タイムマシーン3号の芸風は、誰もが笑いやすい王道漫才に独自のリズム感を加えたものです。小柄で巨漢の(体重115kg)のボケに対し、相方の山本がそれを優しく受け止め包み込むようにツッコむ掛け合いが特徴で、そのテンポは非常に軽快です。関は見た目に反して清潔感があり、“小奇麗なデブ”キャラとして親しまれ、山本の穏やかなツッコミとのコンビネーションが心地よい笑いを生み出しています。一見すると毒のないソフトな雰囲気ですが、実は練り込まれた言葉遊びや高度なテクニックを駆使しており、業界内でも漫才の完成度には定評があります。

ネタ作りの方針として彼らが大切にしているのは「老若男女あらゆる層に伝わるわかりやすい笑い」です。実際、タイムマシーン3号は「ネタがつまらないより理解されない方がつらい」と語っており、どんな観客にも伝わる分かりやすさを重視してネタを作るといいます。これは彼らが新人時代から一貫して意識してきた信条で、観客投票制の『オンエアバトル』で圧倒的な強さを見せた要因でもあります。逆に言えば、“通好み”よりも“万人ウケ”を狙うスタイルのため、かつては同業芸人から「客に媚びすぎ」と揶揄され葛藤した時期もありました。しかし太田プロ移籍後に「自分たちの得意な笑いで勝負しよう」と腹をくくってからはブレない芸風が確立され、現在では幅広い層から支持を集める強みとなっています。

もう一つの特徴が、関の体型ネタ(いわゆる“デブネタ”)と巧みな言葉遊びです。前述の通り、太田プロ移籍前は敢えて封印していた関の体型いじりを解禁し、自身のキャラクターを全面に押し出すことで笑いを倍増させました。たとえば関が巨体を活かして放つボケに対し、山本が「太ってるから○○なんだよ!」と優しくツッコむやり取りは鉄板パターンの一つです。こうした容姿ネタは昨今では賛否もありますが、彼らの場合は関自身が「デブキャラを真正面からやり続ける姿」に誇りすら感じていると語っており、持ち味としてポジティブに昇華しています。

ちなみに試行錯誤していた2004年前後には、一時的に芸風の迷走もありました。スーツの色を二人で揃えてみたり、毒舌キャラに挑戦したり、果てはボケとツッコミの役割を入れ替えてみるなど様々な実験を行ったのです。しかし結局は元のスタイルに落ち着き、現在のようなリズミカルで親しみやすい正統派漫才に回帰しました。この経験から山本は「我々のわかりやすい笑いと世間の潮流が合致した」と分析しており、自分たちのスタイルに自信を深めています。


代表的なネタ・持ちネタ

20年以上のキャリアの中で、タイムマシーン3号は数多くのネタを生み出してきました。その中でも代表的なネタや持ちネタとしてファンに知られているものをいくつか紹介します。

  • 「太らせる」 – タイムマシーン3号を語る上で外せない伝説の漫才ネタです。あらゆる物事の名前をもじって「○○を太らせる」というフレーズに置き換え、次々と太らせてしまうという奇想天外な内容。ジブリ映画のタイトルを例にとると『天空の城ラピュタ』を「天丼のフタ舐めた」などに絶妙に変換していきます。後半では逆に山本の特徴を活かし「痩せさせる」展開にシフトする構成も見事で、観客を驚かせ大爆笑をさらいました。このネタは2015年のM-1グランプリ準決勝で爆発的なウケを取り、その勢いのまま決勝でも会場を大いに沸かせた名作です。
  • 「悪魔のドラえもん」 – 人気アニメ『ドラえもん』を題材にしたコント風漫才ネタです。もしドラえもんが悪魔のように意地悪だったら…という発想から、生真面目な山本と暴走する関のやり取りが展開されます。オチではドラえもんのひみつ道具が暴走しカオスな展開になるなど、子供から大人まで笑えるパロディとして評判です。
  • 「アニメが歳をとったら」 – こちらもアニメネタで、もし有名アニメのキャラクターが歳を重ねたらどうなるかを想像して漫才にしたものです。ドラゴンボールの孫悟空が腰痛持ちになっていたり、『ワンピース』のルフィが老眼で海賊王どころではなくなったりと、細かな設定ボケにファンは爆笑。アニメ好きの関ならでは発想と山本の的確なツッコミが冴える一幕です。
  • その他の持ちネタ – 上記以外にも「改札で人を引き留める警備員のネタ」や「心霊ロケなのに怖がりすぎるディレクターのコント」など、日常やテレビあるあるをテーマにしたネタも多数あります。いずれもオチまでリズム良く笑いを量産するのが特徴で、一度見たらクセになると評判です。漫才だけでなくコントもこなす器用さで、ライブでも毎回新作を披露して観客を飽きさせません。

  • 影響を受けた人物と芸風のルーツ

    タイムマシーン3号の芸風のルーツには、昔ながらの王道漫才と彼ら独自の感性が融合しています。二人は「自分たちのお笑いを突き詰めるのではなく、お客さんの笑いを徹底して追求する」という信念を貫いてきました。この姿勢は漫才師として大先輩にあたる明石家さんまや、バラエティで活躍する有吉弘行といった“お茶の間を沸かせる名人”への憧れにも通じています。実際、山本と関は「憧れてきたさんまさんや有吉さんの前で仕事ができて最高」と語っており、幼い頃からテレビで見てきたスター芸人たちに少なからず影響を受けていることがうかがえます。

    一方で、直接の芸風転換に影響を与えた人物として同業の先輩芸人たちの存在も挙げられます。先述の通り、2013年の事務所移籍後には太田プロの先輩であるタカアンドトシから「ウケるんならそのままでいい」という助言を受け、自分たちの強みを再確認しました。さらに、関の芸名「太(ふとし)」を命名した東京ダイナマイトのハチミツ二郎や、事務所ライブで「体型を活かした方が絶対ウケる」と背中を押してくれた先輩・マシンガンズ西堀亮からのアドバイスも大きな転機となりました。こうした周囲の芸人仲間からの刺激がタイムマシーン3号の芸風を磨き上げ、現在のスタイルを確立する支えになったのです。

    また、タイムマシーン3号のネタには日本お笑い界の伝統的な言葉遊び(ダジャレ)文化の系譜も感じられます。たとえば「太らせる」ネタで見せた巧みな押韻(韻を踏む)技術は、古典的な駄洒落や語呂合わせの手法を発展させたものです。これにヒップホップ的なリズム感と関・山本それぞれのキャラクターを組み合わせることで、唯一無二の笑いに昇華させています。本人たちも子供の頃から漫画やアニメが好きで、そうしたサブカルチャーや言葉遊びへの親しみがネタ作りの土台にあると語っています(関は大の漫画好きで、アニメネタも多数あります)。


    最近の活動:テレビ・YouTube・ライブでの活躍

    結成から20年以上を経た現在も、タイムマシーン3号は精力的に活動の幅を広げています。まずテレビでは、日本テレビの人気番組『有吉の壁』にレギュラー出演中です。同番組では若手からベテランまで多数の芸人が即興コントに挑みますが、タイムマシーン3号は最年長クラスの芸歴ながら毎回存在感を発揮し、壁を壊す爆笑ネタを披露しています。その他のバラエティ番組や特番でも、安定した笑いを提供できる実力派コンビとして起用される機会が増え、近年は第七世代と言われる若手芸人とも積極的にコラボし、世代を超えた笑いを生み出している点も見逃せません。

    YouTubeでの活躍も注目すべきポイントです。2019年に開設した公式YouTubeチャンネル「タイムマシーン3号 Official」は、漫才師としてはトップクラスの登録者数を誇り、総再生回数も大きく伸びています。当初は劇場ライブのネタ映像を配信していましたが、ショート動画ブームに合わせて短尺の漫才クリップや企画コント動画も投稿し始めたところチャンネルが急成長。2022年頃からは登録者が飛躍的に増え、ネットニュースでも「芸人界トップクラスの成功」と話題になりました。動画内容は漫才の他にも、二人がゲームや大食いに挑戦する企画、ロケ企画、後輩芸人とのコラボなど多彩です。飾らない二人の日常トークや掛け合いには「ものすごく自然で心地よい」と評判で、大物タレントたちも「つい見入ってしまう」と公言するほどハマっています。

    さらにラジオやライブでも活躍中です。FM-FUJIでは自らの冠番組『タイムちゃん』を担当し、CBCラジオでも『真誠 presents タイムマシーン3号のそろそろ売れてもいいんじゃない?』がスタート。お笑いライブにおいては事務所主催の定期ライブや単独ライブで新作ネタを精力的に披露し続けており、常に現場主義でファンとの交流を大事にしている点も見逃せません。長年培った実力と安定感で全国各地のイベントや寄席にも出演し、ベテランならではの頼もしさで笑いを届けています。


    ファンからの評価と人気の理由

    デビュー以来息長く活躍しているタイムマシーン3号ですが、その人気の理由にはいくつかのポイントが挙げられます。まず第一に、「安定感抜群の笑い」です。どんな舞台でも確実に笑いを取ってくれる安定感は観客からの信頼が厚く、「ハズレの無い芸人」として評価されています。実際、彼らは観客投票では常に上位を占める存在で、初期のオンエアバトルでも観客支持率No.1とも言われました。常に明るい雰囲気で誰でも楽しめる笑いを届けてくれるため、家族連れからコアなお笑いファンまで幅広い層に愛されています。

    第二に、「キャラクターの魅力と掛け合い」が人気です。関の愛嬌たっぷりなぽっちゃりキャラと、山本の穏やかで的確なツッコミという対照的な個性のコンビは見ていてほっこりすると好評です。関は自分の体型をネタにされても嫌味がなく、むしろ自ら進んで“おいしい役”を買って出る懐の深さがあります。一方の山本も決して高圧的にならず優しく受け止めるスタンスなので、二人のやり取りにはどこか人情味すら感じられます。この仲の良さや信頼関係が漫才から伝わってくる点も、「見ていて心地いい」「安心して笑える」とファンに受け入れられる理由でしょう。

    第三に、「時代に合わせた発信力」です。YouTubeやSNSなど新しいメディアへの適応もうまく、ネット世代のファン層を開拓しています。特にYouTubeでは、テレビとは違うリラックスした雰囲気でトークする二人に「飾らない人柄が伝わって好感が持てる」との声が多く寄せられています。長年培った話芸とサービス精神で視聴者を飽きさせず、テレビとネット双方で存在感を示している点も人気を支える大きな要因でしょう。

    最後に、「苦労人ゆえの応援したくなる要素」も見逃せません。若手時代にブレイクしかけながらも大きな壁にぶつかり、その後長い低迷期を経ても芸人を辞めずに努力を続けてきた姿に、ファンは共感と敬意を抱いています。一度脚光を浴びながら埋もれてしまった時期があるからこそ、「遅れてきたブレイク」に対するファンの喜びもひとしおです。21年目でM-1決勝復帰を果たした際には「報われて良かった」「ずっと応援していて涙が出た」といった声が上がり、近年の活躍には「苦労して磨いた実力がついに世間に伝わった」という評価がなされています。

    以上のように、タイムマシーン3号が長年愛されている背景には、実力に裏打ちされた安定感、コンビの人柄と掛け合いの魅力、新しい挑戦を恐れない姿勢、そして努力を続けるストイックさが挙げられます。これらが相まって「タイムマシーン3号なら間違いない」という信頼が生まれ、多くのファンに支持されているのです。

    デビューから現在に至るまで紆余曲折を経験しながらも、自分たちの笑いを追求し続けているタイムマシーン3号。結成当初からの座右の銘である「お客さんを笑わせること」を貫く姿勢は今後も変わることはないでしょう。その普遍的でハートフルな笑いは、まさに時空を超えて老若男女に愛され続けています。これからもタイムマシーン3号はテレビや舞台、そしてネットを舞台に活躍し、日本中に笑いの輪を広げてくれるに違いありません。

    参考サイト

  • 藤田ニコル×タイムマシーン3号 (ViVi)
  • ただ“太らせる”だけじゃない! (Real Sound テック)
  • タイムマシーン3号、中堅芸人ゆえの苦悩 (ORICON NEWS)
  • タイムマシーン3号 - Wikipedia
  • 芸人・タイムマシーン3号「最大の転機は事務所移籍」 (THE CHANGE)
  • 「客ウケNo.1」だったタイムマシーン3号がぶつかった壁 (文春オンライン)
  • タイムマシーン3号が語る「M-1で容姿ネタ」 (FRIDAYデジタル)
  • お笑い芸人一本釣り(3) - タイムマシーン3号 (マイナビニュース)
  • 【公式】タイムマシーン3号 リモート漫才 (YouTube)
  • 【公式】タイムマシーン3号 漫才「アニメが歳をとったら」 (YouTube)
  • 遅れてきた23年目のブレイク芸人、タイムマシーン3号 (QJWeb)
  • タイムマシーン3号のYouTubeファン・マツコ (マイナビニュース)
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    ネタフリ編集部

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