シソンヌ特集:コント職人が紡ぐ笑いの魅力
お笑いコンビ「シソンヌ」は、2006年結成のコント師です。メンバーはボケ担当でネタ作りを担うじろうと、ツッコミ担当の長谷川忍。2014年には日本一のコント師を決める大会「キングオブコント」で優勝し、一躍その実力が知られるようになりました。以降、テレビ番組や舞台、公演で着実に活躍の場を広げ、若手からベテランまで幅広い層のお笑いファンに支持されています。この記事では、シソンヌの結成から現在までの経歴、代表的なネタや芸風、主な出演番組、影響を受けた人物、ファンに人気のエピソード、そして今後の展望までを、コラム形式で詳しくご紹介します。「シソンヌ ネタ」「シソンヌ 人気」「シソンヌ コント」といったキーワードとともに、コント職人ならではの魅力に迫ります。

結成からキングオブコント優勝までの経歴
シソンヌの二人は吉本興業の養成所・NSC東京校11期生として出会いました。ともに1978年生まれで、2005年にNSCに入学した当時すでに26歳と周りより年長だったこともあり、バイク通学をきっかけに意気投合します。長谷川はかつて相方とショーパブでコンビ活動をしていましたが、直前で相方に逃げられた苦い経験から心機一転NSCへ。一方、じろうは約4年間コント劇団に所属して演技とコント作りを磨いていましたが限界を感じ、さらなる飛躍を求めてNSCに入ったといいます。こうした背景を持つ二人が出会い、2006年4月にコンビ「シソンヌ」を結成しました。
コンビ名「シソンヌ」は意外にもバレエの技の名前に由来します。他に無いフランス語の名前にしようとバレエ用語辞典をめくり、長谷川の提案「アラベスク」を抑えて、じろうが目を留めた「シソンヌ(両足で跳んで片足で着地する跳躍技)」に決定したそうです。唯一無二の響きを持つコンビ名には、型にはまらない独自の笑いを目指す二人の姿勢も表れているのかもしれません。
結成後、下積み時代のシソンヌはライブ出演やお笑いコンテストで徐々に頭角を現します。キングオブコントでは2008年に2回戦進出、2009年と2013年に準決勝進出と着実に経験を積み、結成9年目の2014年についに初の決勝進出を果たしました。決勝戦では持ち味である演技力と独創的なネタで勝ち上がり、同期であるチョコレートプラネットとの最終対決を制して見事キングオブコント2014王者に輝きました。大会史上7代目となるキングの座を獲得し、優勝賞金1000万円を手にした瞬間、二人は真紅のチャンピオンジャケットに身を包み喜びを分かち合いました。ちなみに決勝の舞台で披露したネタは、後述するように演技派コント師シソンヌらしい内容で、お笑いファンの記憶にも強く刻まれています。
優勝後、世間的な“大ブレイク”こそありませんでしたが、シソンヌは着実に歩みを進めます。劇場での単独ライブ動員は増え、評価も高まって、その評判をきっかけにテレビのバラエティ番組やドラマへ声がかかるようになりました。特にじろうはNHKの人気コント番組『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』に不定期出演した後、シリーズ6からレギュラーに抜擢され、全国ネットでも存在感を示しています。2015年にはコンビ初の冠番組となる広島ローカルのコント番組『ぶちぶちシソンヌ』がスタートし、5年間にわたり放送されました。また、2018年には福田雄一監督のドラマ『今日から俺は!!』で二人揃って高校教師役として連続ドラマに出演するなど、コント以外のフィールドでも活躍の幅を広げています。こうした地道な活動により、シソンヌはお笑いファンからの支持を固め、今では「実力派」「コント職人」と評される存在感を放つまでになりました。
シソンヌの芸風と代表ネタの特徴
シソンヌの芸風は、吉本興業の中でも異色と言われる職人肌のコントです。漫才ではなくコント一筋で、「くだらない日常のワンシーンを徹底的に膨らませる」作風を得意としています。本人たちは「いつかシティボーイズのような知的なネタもやってみたい」と語っていますが、実際には身近にいそうな人物や状況を題材にシュールな笑いを生み出すことが多いようです。
例えば、コンビ結成から8年目の集大成として臨んだキングオブコント2014決勝の舞台では、1本目に「ラーメン屋」のコントを披露しました。深夜のラーメン屋に居合わせた客と店主のやりとりを描いたこのネタは、トップバッターにもかかわらず落ち着いた演技で独自の世界観を作り上げ、「現実にこんな人いそう」というリアリティで観客を一気に引き込んだと評価されています。長谷川の的確なツッコミも冴え渡り、プロの芸人審査員たちから高得点を勝ち取る安定感を見せました。
決勝のファイナルステージで披露した「タクシー」のコントもシソンヌらしさが光る代表ネタです。失恋した女性と深夜タクシー運転手の会話という一見地味にも思える設定ですが、じろう演じる女性の悲哀と長谷川演じる運転手の静かな受け答えだけで笑いを生み出しました。台本を文字で追うだけでは笑いどころがないようなストーリーでも、二人の絶妙な間と表情、仕草で爆笑へと昇華させる――まさに演技力に裏打ちされた“コント職人”ならではのネタでした。このように演劇的ともいえる緻密な芝居で笑わせるのがシソンヌの持ち味であり、「どんな人にも評価される普遍的なコント」として大会優勝もうなずける完成度を見せました。
シソンヌのネタ作りはじろうが担当しています。ネタへのこだわりが強く、相方の長谷川に対して演技指導のように細かく注文をつけることも少なくないとか。その甲斐あって、演出・脚本・演技のすべてに統一感があり、“世界観に引き込まれるコント”との評価を得ています。題材は前述のように日常の一コマから発想を得るものが多いですが、下ネタやブラックユーモア、風刺的なテーマを織り交ぜることもあります。しかし決して奇をてらいすぎず、「こんな馬鹿馬鹿しいことで…」と思わず笑ってしまうくだらなさと人間味が同居するバランス感覚がシソンヌのネタの魅力でしょう。
演じるキャラクターにもシソンヌならではの特徴があります。じろうはコントで女装することが多く、先述したキングオブコント決勝の失恋女性役しかり、様々な年齢層の女性をリアルに演じ分けます。実はNSC時代からじろう扮する“川嶋佳子”という上品な熟女キャラクターが存在し、彼らは女性目線のネタにも自信を持っているそうです。この川嶋佳子名義で執筆した日記風小説を原作に、後に映画『甘いお酒でうがい』の脚本をじろう自身が手がけるなど、女性役を単なる笑いのためだけでなくクリエイティブにも昇華させています。女装以外でも、じろうは中年男性や老人、子供まで幅広い人物になりきる演技派です。その源には、じろうがかつて定食屋で長く働いていた経験があると言います。そこで出会ったさまざまな“おじさん”の所作を身につけており、彼が演じる年配男性キャラの動きには独特のリアリティがあると指摘されています。
対する長谷川は癖の強い相手に振り回される「ごく普通の人」役に徹することが多く、頑固な店主や朴訥とした一般人など周囲によくいる存在を巧みに演じます。その普通さがじろう演じる奇人変人キャラを引き立て、結果としてネタ全体のリアリティと笑いを増幅させているのです。
キングオブコント優勝以降は、「コンテストでウケること」を意識したネタ作りから解放され、より自由にコントを楽しめるようになったといいます。シソンヌの二人は「将来的には小学校の行事に呼ばれるような、コントの日常化が望み」と語っており、コントというお笑いスタイルをもっと身近で誰もが楽しめるものにしたいという思いがうかがえます。実際、彼らは優勝後も精力的に新作コントを生み出し続け、毎年のように単独ライブを開催してきました。2018年には「シソンヌライブ[sept]」で初の1ヶ月公演(26日間で30公演)に挑戦し、「狂ってるね」と周囲の芸人から驚かれるほどの壮挙を成し遂げています。しかし本人たちは「意外とできちゃいました(笑)」と飄々としており、「年中コント漬けで特別な達成感はない」と語るほどマイペースです。この“コントを作り演じる日常”を積み重ねる姿勢こそが、シソンヌのコント職人たるゆえんでしょう。
主な出演番組と幅広い活動内容
シソンヌはテレビ、舞台、ラジオ、ネット配信など多岐にわたる媒体で活躍しています。特にテレビでは、そのコントで培ったキャラクター芸を活かしてバラエティ番組に欠かせない存在となりつつあります。代表的なのが日本テレビ系列の人気番組『有吉の壁』です。シソンヌはこの番組に特番第4回(2020年放送)から出演し始め、現在までレギュラー出演を続けています。キングオブコント王者という肩書きがありながら、番組参加にはオーディションを受けて合格するという謙虚なスタートだったそうです。
『有吉の壁』では毎回決められたシチュエーションで即興コントを披露しますが、シソンヌも他の若手芸人に混じって体当たりのキャラ芸に挑戦し続けています。2019年10月放送回の企画「ブレイク芸人選手権」では、チョコレートプラネットの「TT兄弟」に続く新キャラクターとして「こうへいくんとゴンちゃん」を生み出しました。じろう扮する声の大きすぎる少年・こうへいくんと、長谷川扮するゴリラのゴンちゃんが同居する奇想天外な設定で大ウケし、このキャラは番組内の人気企画に成長します。翌2020年4月には『有吉ゼミ』とのコラボSPで他番組にも進出し、日本テレビ公式YouTubeチャンネル「壁チャンネル」では「こうへいくんとゴンちゃんのモーニングルーティーン」が毎週のように配信されるなど、子供たちにも愛されるブレイクキャラとなりました。
テレビでは他にも、NHK『LIFE!』への出演(じろう)や、フジテレビ系のネタ見せ番組『ネタパレ』への不定期出演、過去には子供向けバラエティ『おはスタ』のレギュラー(2010~2014年)など、多彩な番組に登場しています。また、2021年からはフジテレビTWOで放送のアイドルバラエティ『キミは=LOVEを愛せるか!!!』でMCを務め、アイドルグループとの掛け合いにも新境地を見せています。地上波からCSまで幅広く出演し、そのどれもでシソンヌらしい笑いを届けている点に注目です。
一方、舞台での活動もシソンヌの核です。彼らは結成当初から劇場ライブを大切にしており、東京・ヨシモト∞ホールのトップメンバーとして数多くのライブに出演してきました。2013年には東京・本多劇場での1週間公演を成功させ、以降毎年のようにオリジナルコントライブ「シソンヌライブ」を開催しています(公演タイトルはフランス語の数字にちなみ、[une]、[deux]、[trois]…と続いています)。地方公演も積極的に行い、ファンとの交流を深めてきました。特に「シソンヌライブ[sept]」(2018年)では1ヶ月公演30ステージを即日完売させ、「狂気の沙汰」と言われつつも追加席を出すほどの人気ぶりでした。また、並行して行っている全国ツアー「シソンヌライブ[モノクロ]」は、セットや衣装に頼らず二人だけで各地を巡演するコンセプトライブで、地方のファンにも生のコントを届ける取り組みとして好評です。このような地道な舞台活動がシソンヌの芸に深みを与え、熱狂的な支持層を生んでいると言えるでしょう。
ラジオにも活動の場を広げています。2018年から2023年までRKBラジオで放送された『シソンヌの“ばばあの罠”』は、タイトルからしてシソンヌらしいユニークな番組でした。コントさながらのコーナーやフリートークで笑いを届け、深夜ラジオながら各地のリスナーに愛されました。YouTubeなどのネット配信では公式チャンネルこそ持っていないものの、出演番組の配信企画やインスタグラム・TikTokでの短尺コント動画などにも登場し、新世代のファン層にもアプローチしています。SNS上でバズることも狙いつつ、あくまで軸は舞台とテレビでコントを極めるスタンスを崩していない点も、シソンヌらしいと言えるでしょう。
さらに、近年は執筆や俳優業にも才能を発揮しています。じろうは前述の映画『美人が婚活してみたら』(2019年)や『甘いお酒でうがい』(2020年)で脚本を担当し、作家・脚本家としても注目を浴びました。長谷川も俳優としてドラマ出演が増え、2020年にはTBSドラマ『恋はつづくよどこまでも』で上野樹里さん演じるヒロインのお見合い相手役を務めるなど(第2話ゲスト)、演技派ぶりを発揮しています。また、2024年前期のNHK連続テレビ小説『虎に翼』では二人そろって弁護士役で出演予定と報じられており、コントで培った演技力がテレビドラマでも生かされています。お笑いに留まらず多方面に才能を広げる一方で、「芸人として一番幸せなのは自分たちのコントを見たいと言ってお金を払ってくれるお客さんの前でネタを披露すること」と語っており、あくまで笑いを届ける原点を大切にしている点にシソンヌの真骨頂があります。
影響を受けた人物やバックグラウンド
独創的に見えるシソンヌの笑いにも、影響を受けた先人たちがいます。本人たちが公言しているのは、おぎやはぎのコントから大きな影響を受けているという点です。おぎやはぎといえば脱力系のシュールな笑いで知られるコンビですが、シソンヌもまた力みすぎない自然体の芝居でジワジワ笑わせるスタイルにその影を感じます。また、先述したようにシティボーイズへの憧れも語っており、シュールで洗練された笑いへの志向がうかがえます。ただしシソンヌの場合、結果的にはもっと庶民的で泥臭い日常ネタに落とし込むことが多く、それが彼らのオリジナリティとなっています。
身近な芸人仲間からの影響も見逃せません。実はチョコレートプラネット(同期のコントコンビ)から大きな刺激を受けたとじろうは語っています。じろうは元々きっちり台本を書き込むタイプですが、チョコプラの自由奔放なコントを見て「こんな適当なことやってもいいんだ」と発想が広がったと明かしています。緻密さと遊び心のバランスを学び、ネタ作りに良い化学反応が生まれたようです。また、NSC同期のチョコプラとはプライベートでも仲が良く、合同コントイベント「チョコンヌ」や「シソネット」と称してお互いの持ちネタに出演し合うライブを不定期に開催しています。2021年のキングオブコントには即席ユニット「チョコンヌ」として二組混合チームで参戦し、準決勝まで勝ち進む遊び心も見せました。こうした周囲との交流や相乗効果が、シソンヌのコントに新たな風を吹き込んでいるのでしょう。
二人の経歴自体も芸風に影響を与えています。じろうは前述の通り学生時代から演劇畑で活動し、コント劇団で培った演技力と脚本力があります。一方、長谷川は社会人生活やショーパブ芸人の経験を経ており、一般社会を知る目線や場数の多さがあります。それだけに、描くキャラクター像にも現実感が宿り、観客に「こういう人いるいる!」と思わせる説得力が生まれています。また、二人とも東北・地方出身(じろうは青森県弘前市、長谷川は静岡県浜松市)であることから、東京の笑いに染まりきらない素朴さも持ち合わせています。じろうのネタには東北弁の女性(津軽弁の主婦など)が登場することもあり、地方文化への愛着やバックグラウンドが垣間見えることもあります。
さらに興味深いのは、シソンヌのファン層です。2017年時点の調査では、20代から60代まで幅広い年代に支持されており、女性ファンはもちろんスーツ姿のサラリーマン風の男性や夫婦連れまで客席にいるといいます。これはシソンヌの笑いが特定の層に偏らず、老若男女が共感できる普遍性を持っている証と言えるでしょう。若手芸人の間で「お笑い第七世代」と呼ばれる新潮流が台頭しても、シソンヌ本人たちは危機感を覚えることなく「自分たちは自分たちの延長線上で売れればいい」とマイペースを貫いています。流行に迎合せず、自分たちの信じる笑いを追求する道を選んできました。その結果としてファンがついてきてくれれば最高、というスタンスです。今後も年間を通じて単独ライブ「モノクロ」や新作公演を精力的に行うでしょうし、「コント漬けの日々」を続ける限り、ファンは常に新鮮な笑いを享受できるはずです。
ファンに人気の高いネタ・エピソード
シソンヌには多くの名作コントがありますが、中でもファンから熱狂的に支持されているネタやキャラクターがいくつか存在します。まず筆頭に挙がるのが、シソンヌライブで度々登場する「野村くん」シリーズです。野村くんこと野村正弘は、じろう演じる中学生のキャラクターで、家庭環境が複雑で中二病じみた独特の世界観を持つ少年という設定。初登場以来その強烈な個性が評判を呼び、以降のライブ公演で野村くんを主人公にした続編的コントが展開される人気シリーズとなっています。野村くんの口癖である「新展開だ!」「今日という日をここに刻む!」といった中二病全開のセリフはファンの間で語り草になっており、登場するたびに客席から笑いと歓声が起こる定番キャラです。第4回単独公演[quatre]では野村くんの家庭事情に踏み込んだストーリーが描かれるなど、一種の連続ドラマを見るような楽しみも生まれています。
じろうの演じる野村くんは、その怪演ともいえる芝居も相まってファンを魅了します。写真は2022年、じろうが地元・弘前市のイベントで野村くん(高校生時代という設定)として登場した際の一幕です。トレードマークの丸眼鏡に学生服姿でマイクの前に座る様子からも、キャラクターになりきるじろうの本気度が伝わってきます。隣で話を聞く長谷川も含め、まるで本物の人物を見ているようなリアリティで笑わせる野村くんシリーズは、シソンヌファンならずとも一見の価値ありでしょう。
テレビ発の人気キャラクターでは、先述の『有吉の壁』から誕生した「こうへいくんとゴンちゃん」が挙げられます。奇声を発する少年・こうへいくん(じろう)と無言のゴリラ・ゴンちゃん(長谷川)の奇妙な共同生活というコントは、放送直後からSNSでも話題となり、子供たちにもウケる爆発的人気となりました。日本テレビ公式YouTubeにスピンオフ動画がアップされるや数十万再生を記録し、関連グッズが作られるほどの盛り上がりを見せています。「TT兄弟」(チョコレートプラネット考案)などと並び称されるブレイクキャラ芸人として、シソンヌの名を再認識させたエピソードでした。普段はじっくり笑わせる舞台コントが多いシソンヌですが、こうした一発キャラでお茶の間の人気を掴む柔軟さも持ち合わせているのです。
その他にも、ファンの間で語り草のネタは数多くあります。たとえば単独ライブ初期の傑作「ガソリンスタンド」や「インドカレー」のコントは、何度見ても笑える鉄板ネタとしてDVDになった今でも愛されています。じろうの演じるクセ者キャラ(ガソリンスタンドに現れる陽気すぎる中年男性や、インドカレー屋の怪しい店員など)と、長谷川の振り回され方の妙が光る名作です。また、じろうが演じる“おばさんキャラ”も人気です。ライブでは「叔母・節子さん」やスーパーの店員にクレームをつける主婦など、妙にリアルで可愛げのある中年女性を演じるネタがあり、本人も「自分の中のおばさんがどんどん出てくる」と語るほど板についています。こうしたおばさんキャラが高じて、日本ハムの中華総菜『中華名菜』のCMでは中名 華菜(なかな かな)という主婦キャラに扮し、長谷川と共演する場面もありました。CM内でじろう扮する中名華菜が「酢豚愛」を熱烈に叫び、長谷川演じるスーパー店員を一切喋らせないというコミカルな内容で、大きな反響を呼びました。ファンからすれば「いつものシソンヌのコントがそのままCMになってる!」と嬉しくなるようなエピソードです。
このように、シソンヌのネタはライブ公演発のものからテレビやCMで生まれたものまで多岐にわたり、それぞれに熱心なファンが存在します。コントの展開やキャラクターについて語り合うファンコミュニティも活発で、「このネタのこの台詞が好き」「◯◯回公演では設定がこう変わっていた」といったマニアックな楽しみ方をするファンも少なくありません。シソンヌ自身もファンの期待に応えるように、新作ライブでは人気キャラを再登場させたり、ファン投票で上位のネタをアレンジして披露したりとサービス精神旺盛です。こうしたキャッチボールができるのも、長年にわたって質の高いコントを提供し続けてきたシソンヌならではと言えるでしょう。
今後の展望と注目ポイント
結成から約20年近くが経ち、40代となったシソンヌの二人ですが、その創作意欲は衰えるどころか増す一方です。先日のインタビューでは、じろうが「頭で考えるより体が先に動いてコントを表現できるようになってきた」と語っており、経験を積んだことで即興であっても高水準のコントができる自信がついている様子が伺えます。実際、「この机で10分コントしてと言われてもできると思う」と豪語するほどで、もはやどんな場面でも笑いに変えてしまう職人芸の域に達しています。今後もこの円熟味を増したコントにさらに磨きをかけ、新たな名作ネタが生まれてくることでしょう。
ファンにとって注目なのは、シソンヌのさらなる飛躍がどの分野で起こるかです。既にテレビでは『有吉の壁』を中心に安定した人気を博していますが、新たなレギュラー番組や冠企画が生まれる可能性もあります。また、じろうの脚本家としての才能や、長谷川の俳優としての才能が開花し、ドラマや映画で大きな話題を作ることも考えられます。実際、シソンヌは演技力という武器があるため、コントと芝居の垣根を超えた活躍が期待できます。近年もNHK朝ドラへの出演決定など俳優業が充実していますし、じろう自身「いつか朝ドラの脚本を書いてみたい」といった野望を語ることもあるかもしれません。
とはいえ、やはり根底にあるのは「コントが大好き」というシソンヌの芯の部分です。本人たちは「ずっと自分たちの延長線上で売れたい」と語っており、無理に時流に乗るよりも、自分たちの信じる笑いを追求する道を選んできました。その結果としてファンがついてきてくれれば最高、というスタンスです。今後も年間を通じて単独ライブ「モノクロ」や新作公演を精力的に行うでしょうし、「コント漬けの日々」を続ける限り、ファンは常に新鮮な笑いを享受できるはずです。彼ら自身、「人を笑わせたいって気持ちがあるからやっている。自分たちを見たくてチケットを買ってくれる人たちの前でネタをやるのが一番の幸せ」と語っています。この揺るがぬ信念こそが、シソンヌの今後を照らす最大の原動力でしょう。
シソンヌの魅力は、緻密でいてどこか肩の力の抜けたコント、そして人間味あふれるキャラクターによって紡がれる普遍的な笑いにあります。結成から現在まで培った職人技のコントは、多様化するお笑いシーンの中でもひときわ異彩を放っています。これからもシソンヌは新たなネタとキャラクターで私たちを笑わせ、驚かせ、時にホロリとさせてくれるに違いありません。舞台でもテレビでも、その活躍から目が離せません。唯一無二のコント職人コンビ・シソンヌが織り成す物語の続きを、ファンとして楽しみに追いかけていきましょう。
参考サイト
キングオブコント、結成9年目のシソンヌが7代目王者に | ハフポスト NEWS
シソンヌが26日間の単独ライブに特別な達成感ない理由、周囲からは「狂ってるね」 - ぴあエンタメ情報
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