【さらば青春の光特集】お笑い界で輝く独立芸人の魅力

2/27/2025
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さらば青春の光は、森田哲矢と東ブクロからなる日本のお笑いコンビです。2008年の結成以来、コント芸人として数々の賞レースで活躍し、独自の芸風とビジネス戦略でお笑い業界に存在感を示しています。キングオブコントでは史上最多タイとなる6回の決勝進出を誇り(2012年準優勝)、漫才頂上決戦のM-1グランプリ2016でもファイナリストに名を連ねました。大手事務所から独立して設立した個人事務所「ザ・森東」を拠点に、テレビ・ラジオからYouTubeまで幅広く活躍しています。豊富なネタ経験と自由な発想力を武器に「テレビではできない面白いこと」に挑戦し続ける姿勢が人気の理由であり、お笑いファンから熱い支持を集めているのです。

Notion Image (File via Proxy)


さらば青春の光の経歴

森田哲矢(1981年生まれ)と東ブクロ(1985年生まれ、本名:東口宜隆)は松竹芸能の養成所で先輩後輩として出会い、2008年8月にコンビ「さらば青春の光」を結成しました。コンビ名は先輩芸人のみなみかわ(元ピーマンズスタンダード)に命名してもらったもので、イギリス映画『さらば青春の光』に由来しています。結成当初からコントに力を入れ、2009年にはNHK上方漫才コンテストで本選進出し注目を集めます。2010~2011年には「笑わん会」優勝、ABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞、NHK漫才コンテスト優秀賞など新人賞レースを次々と獲得し実力を発揮しました。

さらば青春の光は賞レースで輝かしい成績を収めています。2012年、「キングオブコント」にて初の決勝進出を果たし、見事準優勝に輝きました。以降も2013年・2014年・2015年・2017年・2018年とコンスタントに決勝へ駒を進め、同大会の“常連”として存在感を示しました。また漫才のM-1グランプリでも実力を発揮し、2016年大会で決勝進出(最終4位)を成し遂げています。コント師ながら漫才でもトップレベルに食い込む実力は異例であり、お笑いファンに強い印象を残しました。こうした実績から「日本一のコント師」と称される存在となり、同期の中でも頭角を現す人気コンビへと成長したのです。

しかし順風満帆に見えたキャリアの裏で、彼らは所属していた松竹芸能との確執を抱えていました。新人時代から人気が出始めたことで慢心も生まれ、劇場ライブで事務所批判のネタを披露したり、給料明細をSNSに公開しようとするなど過激な行動に及んだこともありました。2013年、ついに松竹芸能から「これ以上支えることは不可能」と契約解除を通告され、コンビは同年4月よりフリー(無所属)として東京で活動を開始します。実質的には“クビ”同然の退社劇でしたが、森田・東ブクロの二人は以前から独立の意志を固めており、退社後の2013年10月に自らの個人事務所「ザ・森東」(株式会社ザ・森東)を設立しました。森田が社長、東ブクロが副社長に就任し、新マネージャーの山根弘正氏を迎えた極小体制で再始動したのです。

独立直後は苦難の連続でした。退社と同時期に東ブクロの不倫スキャンダルが報じられた影響も重なり、仕事は激減し劇場ライブにも呼ばれない干され状態に陥ります。月収8千円台という極貧生活や営業ギャラ未払いなどフリーならではの苦労も経験しました。それでも周囲の芸人仲間の支えもあってコンビを解散せず活動を継続し、新ネタ作りに励んだ結果、独立して間もない2013年のキングオブコントで早くも決勝に返り咲きます。以降は徐々に仕事を取り戻し、地上波のバラエティ出演も増加。2019年にはTBSラジオで初の冠レギュラー番組を持つなど活動の場を広げました。大手事務所に頼らずとも自力で這い上がったさらば青春の光の姿は、お笑い界において異例のサクセスストーリーと言えるでしょう。


芸風とネタの特徴

さらば青春の光の芸風は主にコント(コント劇)を中心としています。日常生活の中の些細な違和感をテーマに据え、ボケ役の何気ない言動にツッコミ役が微妙な違和感を覚え始め、次第に二人の会話が噛み合わなくなっていく――そんな繊細で脆い日常の崩壊を描く展開が特徴です。東ブクロが演じる役柄はサイコパス気質な人物が多く、森田の演じるキャラクターは理不尽な目に遭う悲哀的な役回りになることがしばしばあります。典型的なボケ・ツッコミの役割分担にとらわれないネタも多く、二人の掛け合いで独特の世界観を作り上げるコントスタイルは他の芸人にはないさらば青春の光ならではの持ち味です。

さらば青春の光のネタづくりで特筆すべきは、設定の“オチ明かし”(いわゆる「バラし」)に至るまでの前フリを通常より長めに取る構成です。物語の核となる事実やボケを観客に明かすまでじっくりと溜めを作るため、最初の「バラし」で爆笑を取れれば後半まで畳み掛けるようにウケが続く一方、そのバラしが滑ってしまうと全編に響いてしまうという諸刃の剣的な要素も孕んでいます。実際、キングオブコント2015では「芸術家の森田が一度も絵を描いていなかった」という設定明かしが不発に終わり、決勝最下位に沈む苦い経験もありました。それでも短い制限時間内で緻密に笑いを積み上げる賞レースの場で結果を残し続けてきた点に、彼らのコント師としての実力がうかがえます。

他の芸人との違いとして、さらば青春の光は漫才にも対応できる柔軟さを持っています。基本はコント芸人ですが、M-1グランプリなど漫才の大会向けにはしゃべくり漫才(掛け合い重視の正統派漫才)に挑戦し、実際に前述の通り好成績を収めました。コント芸人が漫才でもトップレベルに食い込むのは珍しく、コント・漫才両刀使いのスタイルはさらば青春の光の独自性と言えるでしょう。ネタ作りは主に森田が担当し、日常で感じた疑問やニュース、ドキュメンタリー、自身の体験など様々な題材から着想を得ています。森田は「コントはJAZZ」が持論で、台本は細かく作り込まず箇条書きのアイデアをもとに舞台上で即興的に作り上げるスタイルをとっています。一方、東ブクロもアドリブで新たなボケを本番中に差し込み、ウケれば正式にネタに組み込むなど柔軟に対応します。緻密さと即興性を兼ね備えたネタの作風が、独特の笑いを生み出す原動力となっているのです。


ビジネス展開とメディア活動

2013年に個人事務所「ザ・森東」を立ち上げて以降、さらば青春の光はビジネス面でも革新的な展開を見せています。少人数で運営する会社ながら、社員であるマネージャーを含めた3人でギャラを平等に三等分するユニークな契約形態を採用し、チームの結束と機動力を高めてきました。その成果もあって業績は好調で、2022年の年商は約3.7億円に達し毎年収入ベースが上がり続けているといいます。大手に属さずとも稼げるインディーズ芸人のロールモデルとして、業界内外から注目される存在です。

メディア活動の幅広さもさらば青春の光の強みです。テレビやラジオでは多数のレギュラー番組を抱え、地上波からネット番組まで幅広く出演しています。例えばTBSラジオでは2020年開始の冠番組『さらば青春の光がTaダ、Baカ、Saワギ』でパーソナリティを務め、東ブクロはラジオ関西『学生芸人YOAKEMAE』のパーソナリティも担当するなど、それぞれが個性を活かした番組を持っています。テレビでもバラエティ番組への出演はもちろん、自身の名前が冠に付いた特別番組を持つ機会もあり、精力的にお茶の間に笑いを届けています。こうした従来メディアでの活動に加え、年に一度の単独ライブツアーも敢行しており、全国の劇場でファンを楽しませています。

中でも特筆すべきはYouTubeを中心としたデジタル展開の成功です。さらば青春の光Official YouTubeチャンネルは2018年開設以来急成長を遂げ、2023年には登録者数100万人を突破しました。2023年夏に公開した動画はわずか2週間で約250万回再生を記録し、「テレビで絶対できない面白さ」「不謹慎ネタをいじらせたら天才」「個人事務所の強みフル活用」といったファンからの絶賛コメントで溢れるほどの反響を呼びました。彼らのYouTube戦略は「テレビでは見られない面白いことをやる」というスタンスを貫いている点にあります。地上波では放送できない過激な企画や時事ネタのブラックユーモアも、独立芸人である強みを活かし自由に発信しているのです。現在ではメインチャンネルに加え、舞台裏やオフショットを配信する「裏さらば」など計6つものチャンネルを運営しており、趣味のフィンランド発祥スポーツ「モルック」に特化した企画や音楽トーク番組「SARABAR RECORDS」までコンテンツの幅を広げています。公式YouTubeの登録者は2025年時点で140万人を超え(サブチャンネルも50万人台)、総再生回数は累計4億回以上に上ります。こうした数字からも、さらば青春の光のYouTubeが大きな成功を収めていることは明らかです。

さらに、自社企画の飲食イベント「さらばBAR」の開催や有料オンラインサロンの運営など、新たな収益源やファンコミュニティ作りにも取り組んでいます。広告制作事業「森東広告堂」を立ち上げ企業案件のウェブCMを自ら制作するなど(2017年開始)、お笑い以外の分野にもビジネスを拡大しています。このように多角的な活動を展開しつつも、それぞれの仕事量はテレビ・ネット番組・YouTube・ライブでおおむね25%ずつとバランスよく配分しているとのこと。メディア露出による知名度向上と、自由度の高いネット発信の両立を図る戦略が功を奏し、新旧メディアを巧みに使い分ける次世代型の芸人像を体現しています。


さらば青春の光の影響力

大手事務所に属さず個人で成功を収めたさらば青春の光の存在は、お笑い業界に大きな影響を与えています。とりわけ松竹芸能から独立(脱竹)した芸人の中では突出した活躍ぶりであり、彼らは「脱竹組の筆頭」として名前が挙がることが多いと言われます。実際、さらば青春の光が独立後に成功を収めたことで、他の芸人たちにも「事務所に頼らずともやっていける」という一つのモデルケースを示したと言えるでしょう。近年ではYouTubeやSNSを駆使して自力で人気を獲得する若手芸人も増えており、その流れの先駆けとしてさらば青春の光の影響は無視できません。賞レース至上主義のお笑い界において、2018年を区切りに大会出場をやめて別の道で勝負する決断を下した点も画期的でした。この決断は「全精力を注いでも優勝しなければリターンが少ない」大会よりも、自分たちの企画や自由なネタ作りに時間を使う方が将来につながると判断したためであり、結果的にYouTubeでの成功など新たな活路を切り開いています。こうした柔軟な発想と行動力は、同業の芸人たちにも刺激を与え、若手の中にはさらば青春の光に憧れて独自の道を模索する者も現れ始めています。

ファン層にも独特の広がりがあります。テレビ時代から応援するお笑い好きのファンに加え、YouTubeでさらば青春の光を知った若年層のファンも多く取り込んでいます。過激な笑いや時事ネタをブラックに料理する作風から、20代~30代の男性ファンに強い支持がある一方で、ライブ会場には女性ファンの姿も目立ちます。コンビの苦労話や人情味溢れるエピソードから、苦境を乗り越えた“苦労人”として応援するファンも少なくありません。ファンの総称については、旧事務所が松竹(竹)であったことにちなみ「竹の子」と呼ばれることもあるようです。熱心なファンはオンラインサロンやイベントを通じて交流し、単独ライブのチケットは即日完売するほどの人気ぶりとなっています。このようにコアな支持層を掴みつつ、テレビやネットで新規ファンも開拓するさらば青春の光は、お笑い界でも屈指の影響力を持つ存在として注目されているのです。


最新の活動と今後の展望

現在、さらば青春の光は精力的に新たなプロジェクトに取り組んでいます。直近では2023年に開催した単独ライブツアーを全国6都市で成功させ、約2万人分のチケットを完売するという快挙を達成しました。毎年規模を拡大している単独ライブは彼らにとって最もやりがいのある活動であり、今後もさらに動員を伸ばしていきたいと意気込んでいます。また2023年から2024年にかけてはテレビ東京系のバラエティ特番『アヤツリ・スクワッド』でニューヨーク(吉本興業所属の若手コンビ)と共演し、即興劇形式のドッキリ企画に挑戦するなど、新機軸の番組にも積極的に参加しました。さらに2025年2月からは新たなYouTubeチャンネルとして、音楽トーク番組「SARABAR RECORDS」を開始しています。この番組では毎回ミュージシャンをゲストに迎えつつ「あえて音楽の話をしない」という斬新なコンセプトを打ち出し、ゲストの意外な一面を引き出すトークを展開すると発表されました。初回ゲストには人気バンド・BLUE ENCOUNTが登場し、従来のお笑いファン以外の音楽ファンにもアプローチする試みとなっています。新チャンネル開設や新企画への挑戦から、さらば青春の光の旺盛なチャレンジ精神が伝わってきます。

今後の展望として、さらば青春の光は「面白いことをとことん追求する」姿勢を貫きつつ、更なる飛躍を目指しています。本人たちは「テレビ出演は憧れでもあり知名度向上の手段」としながらも、既成の枠に囚われず常に新しい笑いを創造することに重きを置いています。賞レースへの再挑戦については現時点で考えておらず、それよりも自主企画ライブや映像コンテンツを充実させることでファンを楽しませたい意向です。森田はフィンランド生まれのスポーツ「モルック」の世界大会に日本代表として出場するほど多才であり、こうした趣味や特技を活かした副次的な活動も含め発信の幅をさらに広げていく可能性があります。事務所「ザ・森東」として他の若手芸人を育成・マネジメントする展開も将来的には考えられますが、現状はコンビ2人の活動に集中しつつ少人数チームの強みを活かす方針のようです。ファンとしては、さらば青春の光がこれからどんな「新しい笑い」に挑んでくれるのか、目が離せない状況です。お笑い界に新風を巻き起こし続ける彼らの今後の活躍に期待しましょう。


まとめ

さらば青春の光の魅力を改めて振り返ると、その卓越した芸人としての実力と型破りな挑戦精神が際立ちます。緻密かつ斬新なコント芸と漫才を自在に操る芸風、そして既存の枠にとらわれない自由奔放な発想力。賞レースで結果を残しながらも独立の道を選び、自らの手で個人事務所を経営して成功を掴んだサクセスストーリー。YouTubeという新天地で次々とヒット動画を生み出し、テレビ・ラジオ・ライブでも八面六臂の活躍を見せるその姿は、まさに現代のお笑いシーンを牽引する存在と言えます。お笑いファンにとってさらば青春の光は「今一番目が離せないコンビ」の一組でしょう。独自の芸風で笑いを追求しつつビジネス面でも革新的な成功を収めている彼らは、常に進化を遂げています。これからもさらば青春の光が生み出す新たな笑いと挑戦に注目し続けるべき理由は十分です。お笑い界にさらなる青春の光を灯す存在として、今後もますます目が離せません。


参考サイト

  • さらば青春の光 (お笑いコンビ) - Wikipedia
  • さらば青春の光に学ぶ 3人で年商3.7億。最小組織で最大の結果を出す仕事論 | Ambitions Web
  • さらば青春の光がTaダ、Baカ、Saワギ | TBSラジオ
  • 現在のレギュラー番組まとめ | さらば青春の光 official website
  • お笑いコンビ さらば青春の光が音楽トーク番組の新YouTubeチャンネル開設!初回ゲストはBLUE ENCOUNT! | 激ロック ニュース
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    ネタフリ編集部

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