NON STYLE特集:漫才界のベテラン伝説コンビに迫る
1. NON STYLEとは?
メンバーはボケ担当の石田明と、ツッコミ担当の井上裕介の二人です。ともに1980年生まれで大阪市出身という共通点があり、NSC大阪校22期生(同期扱い)でもあります。石田と井上は若手時代から数々のライブで経験を積み、2000年代中頃にはテレビ番組や賞レースで頭角を現しました。
2. NON STYLEの芸風と特徴
NON STYLEの漫才は、伝統的なボケ・ツッコミのスタイルを基盤にしながらも独自の特徴を持っています。ボケの石田が漫才のネタをすべて執筆し、次々と繰り出すボケに対して井上が鋭くツッコむ高速漫才が持ち味です。怒涛のボケとツッコミの応酬で笑いが途切れないそのテンポは、「理想的な漫才」と評されるほどで、観客を最初から最後まで笑いっぱなしにさせるパワーがあります。
ツッコミ役の井上にも特徴があります。井上は漫才中やバラエティで自身をイジる“ナルシストキャラ”で知られており、ブサイクで低身長なのに自信満々というギャップが笑いを誘います。この「スーパーポジティブ・ナルシスト」ぶりは演技ではなく私生活でも同様だそうで、ツッコミでありながら自ら笑いのネタになるユニークな存在です。一方、石田のボケは時に自分で自分にツッコミを入れるような高度な技も織り交ぜられ、緻密に計算されたボケと自由奔放なボケを使い分ける器用さがあります。
他の芸人との違いとしては、その漫才の圧倒的なスピード感と笑いの量が挙げられます。例えば、ナイツが言葉遊び主体、笑い飯が奇想天外なボケ主体の漫才であるのに対し、NON STYLEは王道の漫才構成を保ちつつも息つく暇もないギャグの連発で観客を圧倒します。また、ツッコミ役がここまでキャラクター化しているコンビは珍しく、井上の存在が漫才にもう一層の笑いを生み出している点でも唯一無二です。石田の白スーツに井上の派手な自己アピールというビジュアル面のインパクトも相まって、観客の記憶に残る芸風を確立しています。
3. 代表的なエピソード・名シーン
NON STYLEは数多くの代表的な漫才ネタやバラエティでの名シーンを持っています。中でも有名なのが、M-1グランプリ2008の優勝ネタ「ホラー映画」です。決勝の最終決戦で披露したこのネタでは、石田がホラー映画でお化けに驚く役をコミカルに演じ、井上が次々と突っ込む展開で大爆笑を取りました。怒涛のボケにほとんど隙間なく笑いが起きる様子は圧巻で、審査員からも「笑いが途切れない理想的な漫才だった」と評価されました。同大会の1本目で披露した「川で少年が溺れている」というシチュエーション漫才も秀逸で、日常の中の非常事態をテーマにボケを量産するスタイルに観客は大ウケでした。
漫才中のリアクション芸もNON STYLEの見どころです。井上はツッコミの際にしばしば大きな音を立てて太ももを叩くのですが、その勢いが激しすぎて「やりすぎて骨盤が歪んだ」という逸話がファンの間で語られるほどです(真偽はともかく、それほど全力だという例えです)。石田もまた全身を使ってボケるため、二人が並ぶと漫才中の所作一つひとつが笑いに繋がります。
バラエティ番組での名シーンも数多くあります。井上は自己愛キャラを活かして、「今日は皆さん僕に会えたことに感謝してください!」といった大胆な自己紹介でいじられるのがお約束です。『アメトーーク!』や『ロンドンハーツ』のような番組では「ひな壇」で他の芸人から散々イジられますが、井上本人は終始ポジティブでニコニコ。【嫌われ芸人ランキング】で上位に選ばれても「日本一嫌われている芸能人が毎日笑顔でいる理由」と題したエッセイ本を出版してしまうほどで、その図太いメンタルがかえって笑いを生むのです。石田はトーク番組で自身の貧しい少年時代の伝説的エピソードを披露することがあります。例えば「デコピン(おでこを指で弾く遊び)をされたら、なんとデコピンした相手の指が骨折した」だとか、「家賃が払えず、全く知らない他人家族としばらく同居していた」など、にわかに信じがたい極貧・虚弱体質エピソードは観客を驚かせつつ笑わせます。
また、コンビの転機となるエピソードとして語られるのが2016年末の井上の事故です。井上裕介は2016年12月に自動車事故に巻き込まれ、一時活動を自粛しました。人気絶頂の中での休業に心配の声も上がりましたが、約3ヶ月後の2017年3月に復帰。このとき行われた復活ライブは「これぞNON STYLE!」と言われるほど大爆笑のステージとなり、ファンに強く印象付けられました。逆境さえも笑いに変えてしまうエピソードとして、現在でも語り草になっています。
4. 受賞歴と評価
NON STYLEの受賞歴は輝かしいものがあります。主なタイトルだけでも以下の通りです。
こうした受賞歴からも、NON STYLEが漫才界でトップクラスの実力と人気を持つコンビであることが分かります。中でもM-1グランプリ2008での優勝は彼らのキャリアのハイライトです。ファーストラウンドから審査員全員が高得点をつけ、最終決戦では満場一致に近い形で優勝が決まりました。松本人志(ダウンタウン)など錚々たる審査員からも「とにかく笑わせる量がすごい」「完成度が高い」と絶賛され、以降NON STYLEは“M-1王者”として不動の地位を築きました。
業界内での評価も非常に高く、同業の芸人からリスペクトを集めています。石田は自他ともに認める「漫才オタク」であり、そのネタ作りの才能と情熱は後輩芸人たちの手本です。実際、石田は2021年からNSCの講師も務め、若手の育成に携わるなど漫才界全体への貢献もしています。一方の井上は、どんなイジりにもポジティブに返す姿勢から「メンタルお化け」と称されることもあり、明るいムードメーカーとして芸人仲間に愛されています。「NON STYLEのおかげで救われた」と公言する後輩もいるほどで、その存在感と影響力は計り知れません。
5. 現在の活動と最新の話題
現在、NON STYLEはテレビ・舞台・ネットと幅広く活躍を続けています。漫才師としての原点であるライブ活動にも積極的で、毎年のように全国ツアーライブを開催し新作漫才を披露しています。近年は特にYouTubeを活用しており、公式チャンネル「NON STYLEチャンネル」ではライブで披露した新ネタや傑作漫才を配信しています。実際、芸歴20年を超えてなお制作された新作漫才「旅館巡り」は「NON STYLE史上最高傑作」と評判になり、YouTube上で大きな反響を呼びました。
テレビではレギュラー・準レギュラー出演も多数あります。石田はNHK-Eテレの番組で司会を務めたり、読売テレビの情報番組に出演したりとマルチに活動中。井上もクイズ番組やトークバラエティでひな壇の常連として見かけない日はないほどです。また、石田はM-1グランプリの審査員にも抜擢されています。2015年にはM-1決勝の審査員を史上最年少クラスで務め、2023年には敗者復活戦、そして最新の2024年大会でも決勝審査員を担当しました。M-1王者OBが審査員席に座る姿は、漫才ファンにとって感慨深いものがあります。
インターネットやSNSでの発信も活発です。石田明は自身のYouTubeチャンネル「NON STYLE石田明のよい~んチャンネル」を開設し、ゲスト芸人とお酒を飲みながら漫才論を語る配信を行っています。漫才への深い洞察と愛情に溢れるトークはコアなお笑いファンから支持され、チャンネル登録者も順調に増えています。井上裕介はTwitterやInstagramで日々ポジティブな投稿を続けており、自撮り写真に「いいね」が殺到するなどSNSでも高い人気を誇ります。自称「ポジティブ王子」の井上らしく、SNS上でもファンを明るく楽しませています。
2022年10月、大阪城公園で約22年ぶりに「ストリート漫才」を披露したことも話題になりました。屋外での漫才は夜の路上ライブを重ねた若手時代以来で、レアな機会とあって大勢の観客が押し寄せました。青空の下、大阪城天守閣をバックに漫才をするという贅沢なシチュエーションに石田も「こんな場所でできるのは光栄。久々で感覚がズレて『すべってるのかな?』と錯覚した」と冗談交じりに振り返り、当時のニュースでも大きく取り上げられています。
プライベートの話題では、井上裕介の結婚が挙げられます。井上は2022年9月に一般女性との結婚を発表し、「こんな僕をもらってくれるという勇気と器量がある方と奇跡的に出会えました」とコメント。自他ともに「嫌われキャラ」と称する井上らしいユーモアあふれる表現で幸せを報告し、ファンや芸人仲間から祝福されました。公私ともに充実した二人は、今も精力的に活動しています。
6. ファンからの人気の理由
では、NON STYLEがこれほどファンに愛される理由とは何でしょうか。まず第一に挙げられるのは、やはりネタ(漫才)の面白さです。漫才師にとってネタは命ですが、NON STYLEの漫才はどれをとっても完成度が高くハズレがありません。日常の何気ないシチュエーションから奇想天外なボケを生み出し、畳みかけるように笑わせるスタイルは一度観たら癖になるとの声も多いです。「NON STYLEの漫才を観ると嫌なことも忘れて笑える」というファンも少なくありません。
次に、キャラクターの魅力です。井上裕介のナルシストキャラは、普通なら嫌味に映りそうなところを突き抜けさせることで笑いに変えています。「俺はイケメン」「世の女性は俺に夢中」と本気で言い切る姿はもはや清々しく、憎めない愛すべきキャラとして定着しています。井上の発するポジティブな名言の数々(「嫌われてても気にしない。だって俺は俺!」等)は若者の間でネタ的に引用されることもあり、そのポジティブさに勇気づけられるファンもいます。一方の石田明は、一見クールに見える細身のボケですが、実は誰よりも笑いに貪欲でサービス精神旺盛です。練り込まれた台本とアドリブを巧みに織り交ぜ、時には自虐も交えて観客を笑わせる様は「職人芸」と言われるほど。【ネタ作り】【演技力】【笑いへの情熱】──石田の持つこれらの要素が漫才に厚みを与え、ファンを惹きつけています。
また、コンビ仲の良さや掛け合いの妙も人気の理由です。NON STYLEの漫才を観ていると、二人の息がぴったり合っていることが伝わってきます。実際にプライベートでも仲が良く、お互いへのリスペクトを公言しています。井上がボケ倒す石田に思わず笑ってしまったり、石田が井上の暴走に呆れつつも嬉しそうにツッコむ場面など、二人の関係性が垣間見える瞬間がファンにはたまりません。「本当に漫才が好きなんだな」「この二人が組んでいて良かった」と感じさせる温かさが、観客の心を掴むのでしょう。
さらに、NON STYLEは常に前向きでサービス精神旺盛なところも支持されています。先述の通り、井上はどんな逆境でも明るく振る舞い笑いに変える達人ですし、石田も「お客さん第一」で笑いを届けることに全力です。例えばライブ終演後にファンサービスで居残って写真撮影に応じたり、SNSでファンのコメントに反応したりと、距離の近さも感じさせます。「ファン想いなところが好き」「嫌なニュースが多い中でNON STYLEを見ると元気になれる」といった声が多いのも彼らならではと言えるでしょう。
7. まとめ:NON STYLEの魅力とは?
NON STYLEの最大の魅力は、一言で言えば「誰よりも人を笑わせることに貪欲で、その手段を常にアップデートし続けている点」でしょう。伝統的な漫才の型を大切にしつつ、時代に合わせた笑いを取り入れて進化し続ける姿は、まさに漫才界の伝説であり現在進行形のトップランナーです。【M-1優勝】【オンエアバトル制覇】といった華々しい経歴に慢心することなく、YouTubeやSNSなど新たな舞台にも果敢に挑戦する柔軟性も持っています。石田明の職人的なネタ作りと、井上裕介の規格外のポジティブさという対照的な個性が合わさって生み出される笑いは、唯一無二の「NON STYLEワールド」を作り上げています。
今後の展望としても、NON STYLEへの期待は尽きません。すでに漫才師としての地位を確立した彼らですが、本人たちは「まだまだ通過点」と捉えているようです。石田は「漫才は進化し続けるエンターテインメント」と語り、自身も講師として新世代の育成に関わるなどお笑い界全体を盛り上げています。井上も「誰もが知るスーパースターになりたい」とさらなる高みを目指す意欲をブログで綴っており、常に上を向いて歩み続けています。彼らはこれからも新ネタ作りに励み、テレビやネットを通じて全国に笑いを振り撒いてくれるでしょう。
NON STYLEの魅力とは、一言では言い尽くせないものです。痛快な漫才の面白さ、二人の人柄とキャラクター、そして観る者を元気づけるポジティブなパワー…。それらが合わさって、多くの人々に愛される理由になっています。これから先も石田明と井上裕介の二人が織りなす物語から目が離せません。漫才ファンのみならず、お笑いに馴染みのない人にもぜひ一度体験してほしい、“笑いの伝道師”NON STYLEの世界——その魅力は今後も色褪せることなく輝き続けるに違いありません。笑いの未来を背負う彼らのさらなる活躍に、期待と注目が集まっています。
参考サイト
いまさら?ながら漫才コンビ「NONSTYLE(ノンスタイル)」について語る
(7)そこのチョイスにワクワクする。 | NON STYLE石田明さんと、「お笑い」の話を。 | 石田明 | ほぼ日刊イトイ新聞
〖M-1グランプリ2008まとめ〗NON STYLEが優勝した第8回大会を振り返り!結果・ネタ順・漫才タイトル・感想!
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