ニューヨーク特集:尖った笑いと抜群の安定感の人気に迫る
お笑い界での「ニューヨーク」の存在感
吉本興業所属のニューヨークは、独自のシュールなネタと鋭いツッコミが特徴のお笑いコンビです。ボケ担当の嶋佐和也とツッコミ担当の屋敷裕政が2010年にコンビを結成して以来、賞レースやバラエティ番組で次第に注目を集め、お笑い界で確かな存在感を放っています。特に2019年のM-1グランプリで初の決勝進出を果たしたことを機に露出がじわじわ増え、今や冠番組を持つまでに成長した人気芸人となりました。近年はテレビやネットで見かけない日がないほど活躍しており、その勢いはとどまるところを知りません。
メンバー紹介と結成の経緯
屋敷裕政(やしきひろまさ)と嶋佐和也(しまさかずや)はいずれも1986年生まれで、NSC東京校15期生として出会いました。屋敷は三重県熊野市出身で、高校時代に初開催のM-1グランプリを観てお笑いの世界に憧れを持ち、大学卒業後に一度はテレビ制作会社のADとして働きましたが「やはり自分も舞台に立ちたい」という思いを捨てきれずに1年で退職しNSCに入学しています。一方、山梨県出身の嶋佐は幼少期からダウンタウンの伝説的コント番組『ごっつええ感じ』に夢中になり、大学卒業後は音楽好きが高じてレコード会社の就職試験を受けたものの上手くいかず、「普通の仕事は無理かも」と感じてNSCに飛び込んだ経歴の持ち主です。
NSC在学中、二人はそれぞれ別のコンビを組んでいました。しかし卒業間近になって前のコンビを解散することになった屋敷が嶋佐に声をかけ、新宿のファストフード店で初めて顔を合わせてじっくり話します。当時嶋佐は相方のことが好きで解散を迷っていましたが、周囲の友人から「屋敷と組んだほうがいいんじゃないか」と勧められたこともあり、嶋佐自身も屋敷のNSC内での成績優秀ぶりに一目置いていたため心が動きました。年明けに嶋佐は元相方との解散を決意し、満を持して2010年にコンビ「ニューヨーク」を結成します。まさに好きな相方との別れ話を自分から切り出したのに、未練から嶋佐のほうが泣いてしまったというエピソードも本人たちが笑い話にするほど、ドラマチックな結成の経緯でした。こうして誕生したニューヨークは、同期の中でも異色のコンビとして歩み始めます。
芸風・ネタの特徴
ニューヨークの芸風はコントと漫才の両方を巧みにこなすオールラウンドさが魅力です。実際、彼らは2019年・2020年のM-1グランプリで2年連続決勝に進出し、さらに2020年のキングオブコントでは準優勝に輝くなど、漫才とコント双方で結果を残しています。ボケの嶋佐が繰り出す独自のボケはシュールで皮肉が利いており、屋敷のツッコミは時に毒舌ぎりぎりの鋭さを見せます。たとえば「女上司」や「シェアハウス」といったネタでは、職場や日常生活のあるあるをブラックユーモアたっぷりに描き出し、思わず笑いながらもドキッとさせる作風が光ります。皮肉や偏見を題材にした風刺的なネタや、映画・ドラマを元にしたパロディコントなど幅広いジャンルの笑いを展開しており、「こんなのあるある!」「そんなこと言っちゃうの!?」と観客を驚かせつつ共感させる絶妙なバランスが持ち味です。
その攻めた芸風ゆえに「毒が強すぎる」「笑いの好みが分かれる」と言われることもありますが、裏を返せばそれこそがニューヨークらしさでありコアなファンにはたまらないポイントでもあります。同業の芸人からも「漫才でもコントでも安定感がある実力派」と評価されることが多く、嶋佐の自由奔放なボケと屋敷のキレのあるツッコミが生むコンビならではの化学反応が面白いと評判です。どんなネタでも最後にしっかりオチをつけて笑いに昇華するスキルはさすがプロの芸人であり、幅広い笑いを追求する彼らのスタイルはお笑いファンを飽きさせません。
メディア出演と影響力
ニューヨークはテレビでもネットでも引っぱりだこの存在です。漫才・コントの賞レースで実績を残した後は地上波バラエティへの出演が一気に増え、現在は『ラヴィット!』(TBS)や『ジョンソン』(TBS)、『なにわ男子の逆転男子』(テレビ朝日)など数々の番組にレギュラー出演しています。2021年にはフジテレビ(関東ローカル)で自身の名前を冠した初のレギュラー番組『ニューヨークですが…何か?』がスタートし、お笑いファンの間でも大きな話題となりました。地上波のみならずABEMAの恋愛バラエティ『ニューヨーク恋愛市場』のMCを務めるなど、テレビの枠を超えて多方面で活躍しています。
アイドルグループのイベントにゲスト出演しコメントをするニューヨークの嶋佐和也(左)と屋敷裕政(右)。テレビやイベントでも独自の笑いで場を盛り上げる姿は多くのファンを惹きつけています。ニューヨークの影響力はテレビだけにとどまらず、公YouTubeチャンネル「ニューヨーク Official Channel」でも存分に発揮されています。毎週日曜夜には生配信企画「ニューヨークのニューラジオ」を配信しており、ゆるいトークから鋭い時事ネタまで幅広い内容で人気を博しています。特にコロナ禍にはほぼ毎日のように配信を行い、「伝説回」と呼ばれるような爆笑エピソードも生まれるなどツウもうなるコンテンツでファンを沼に引き込んでいます。YouTubeやSNSなどデジタルメディアを積極的に活用することでファンとの距離を縮め、テレビ離れしがちな若い世代からも熱い支持を集めることに成功しています。実際20~30代の視聴者を中心に「オンラインでも気軽にニューヨークの笑いが楽しめる」と好評で、ネット発の企画がテレビで取り上げられることもあるほどです。
このように、多彩なメディアで発信を続けるニューヨークは、お笑い界全体にも大きな影響を与えています。他の芸人たちも刺激を受けてYouTubeに進出したり、尖った笑いに挑戦するケースが増えるなど、ニューヨークの活躍が一つのムーブメントになっていると言えるでしょう。さらに全国ツアー形式の単独ライブも毎年開催しており、2023年の単独ライブ「そろそろ、」では5都市13公演で延べ1万2千人を動員するなど、その集客力もトップクラスです。テレビ・配信・ライブという全方位でファンを楽しませるニューヨークの存在は、お笑いシーンに新たな風を吹かせ続けています。
「ニューヨーク」の魅力と今後の展望
ニューヨークの最大の魅力は、なんといってもコンビ二人の絶妙な掛け合いと飾らない人柄にあります。他の芸人との関係性も良好で、同期や先輩後輩を問わず交流が深いことで知られます。同期の見取り図や後輩のさや香などとは合同ライブやイベントで共演する機会も多く、お互いに刺激を与え合う良き仲間として切磋琢磨しています。人気芸人となった現在でも天狗になることなく、共演者からイジられれば全力でオイシく返す懐の深さも愛される理由でしょう。ダウンタウンやナインティナインといった大御所とも番組で共演する機会が増えましたが、物怖じせずにニューヨーク節を発揮して笑いを取る度胸の良さは先輩芸人からも一目置かれる存在です。
また、彼らは自分たちの笑いを追求し続けるストイックさも持ち合わせています。毎年行う単独ライブでは「昨年よりも絶対に面白くしたい」という強い意気込みで新ネタを作り込み、テレビでは制約があってできない表現にも大胆に挑戦しています。屋敷と嶋佐は「単独ライブこそ一番自分たちらしさを出せる場所。だから本当は一番見てほしいんです」と語っており、ライブシーンへの情熱は並々ならぬものがあります。その貪欲な姿勢がネタのクオリティ向上につながり、新規ファン獲得にも直結しているのでしょう。
今後のニューヨークの目標としては、まず念願の賞レース制覇が挙げられます。これまでM-1やキングオブコントの決勝常連ではありながら惜しくも優勝は逃しているため、リベンジに燃えているに違いありません。さらに近年はコンビで番組MCを任される機会も増えており、このまま経験を積めばゴールデンタイムの看板番組を担当する日も遠くないでしょう。屋敷は俳優としてドラマ出演を果たすなど新境地も開拓しており、嶋佐もバラエティだけでなく執筆活動(エッセイ連載)や声優挑戦など幅広い才能を発揮しています。こうした多才ぶりも含め、ニューヨークはお笑い界の次世代を担う存在としてますます期待が高まっています。
お笑いファンにとっての「ニューヨーク」
尖った笑いのセンスと抜群の安定感を兼ね備えたニューヨークは、一般のお笑いファンにとって今最も目が離せないコンビの一組です。彼らが繰り出すネタは「これぞニューヨーク!」という個性に溢れており、観る者をハラハラさせつつ最後には必ず笑わせてくれる爽快感があります。その面白さの秘訣は、嶋佐の奔放だけど憎めないキャラクターと、屋敷の冷静で的確なツッコミという対照的な個性のぶつかり合いにほかなりません。二人の息は長年のコンビ生活でぴったり合っており、どんな舞台でもホームのように楽しませてくれる安定感があります。
テレビ番組で見せる表情と、劇場ライブで見せる本気ネタ、YouTubeでの素のトークと、それぞれ違った顔を持つニューヨークですが、根底にある「お笑いへの熱意」は一貫しています。常に新しい笑いに挑戦し、ファンを驚かせ喜ばせてくれるサービス精神旺盛な姿勢は、多くのお笑いファンから愛され支持される所以でしょう。「ニューヨークがおもしろい理由」は一言では語り尽くせませんが、その革新的な笑いと二人の人柄に惹かれるファンが後を絶たないことが何よりの証拠です。
これからもニューヨークは更なる高みを目指して突き進んでいくことでしょう。その歩みをファンとして追いかけながら、テレビや舞台で彼らが巻き起こす笑いの嵐に期待したいと思います。お笑いコンビ「ニューヨーク」は、今まさにお笑い界の中心に躍り出た存在であり、その面白さと可能性は無限大です。今後の活躍からも目が離せません。