金魚番長特集: NSC首席卒・新星若手漫才コンビ
金魚番長(きんぎょばんちょう)は、2018年結成の日本のお笑いコンビです。メンバーは箕輪智征(みのわ ともゆき)と古市勇介(ふるいち ゆうすけ)の2人で、吉本興業に所属し主に東京の劇場で活動しています。結成以来ユニークな漫才ネタで注目を集め、若手芸人の中でも次世代のエースとして期待される存在です。本記事では、金魚番長の経歴やネタの特徴、ブレイクのきっかけから最新情報まで、その魅力に迫ります。
結成の経緯と経歴
金魚番長の2人はNSC(吉本総合芸能学院)東京校24期生で、2018年4月に入学しました。もともと学生時代にお笑い経験はなく、未経験のままNSCに飛び込んだ異色の経歴を持ちます。在学中の2018年6月に箕輪と古市が意気投合してコンビを結成。コンビ名「金魚番長」は、箕輪案の「金魚鉢」と古市案の「モンスター番長」を組み合わせたもので、インパクトのある名前が誕生しました。この頃はコント(寸劇)を主に演じていましたが、NSCの合宿中に漫才で選抜されてから漫才に軸足を移しています。
NSC在学中から頭角を現した金魚番長は、2019年2月のNSC東京校卒業ライブで見事優勝し、118組中トップの成績で卒業しました。優勝ネタは「便器バッグ」と呼ばれる斬新なもので会場の爆笑をさらい、南海キャンディーズの山里亮太からは「薬物と女性関係に気をつけろ」と冗談交じりの助言を受けています。首席卒業の特典として同年3月に初単独ライブ「金魚すくい」を開催し、プロの芸人として最高のスタートを切りました。2019年4月から本格的にデビューし、最初の半年ほどはヨシモト∞ホール(東京)を拠点にライブ出演を重ねます。その後、2020年1月に神保町よしもと漫才劇場(東京)のオープンとともに劇場所属メンバーとなり、以降は定期的に劇場ライブに出演して実力を磨きました。
下積み期の努力が実り、2021年1月のライブイベント「頂〜鳥〜」では堂々の1位に輝き、劇場内ランキングで最高位の「花クラス」に昇格します。以降、若手トップクラスの芸人として注目され始め、各種賞レースで実績を積んでいきました。M-1グランプリでは2019年に初出場で3回戦進出、2021年に準々決勝進出と着実に勝ち上がり、2024年大会では念願の準決勝進出を果たしています。さらに東京の若手限定大会であるUNDER5 AWARD 2023で初代チャンピオンに輝き、同年開催のマイナビ Laughter Night 第9回チャンピオン大会でも優勝を収めました。2024年には全国区の新人大会ABCお笑いグランプリで決勝に進出するなど、快進撃を続けています。こうした経歴から、「出た大会はすべて獲ってきた」と語るほどの勢いで、着実にキャリアを積み上げてきました。
ネタの特徴とお笑いスタイル
金魚番長のネタは主に漫才で、箕輪がボケ(ボケ担当)を、古市がツッコミ役を務めるオーソドックスなコンビスタイルです。最大の特徴は、箕輪の独特で個性的なボケと古市のキレのある的確なツッコミの掛け合いにあります。日常の何気ない出来事や人間関係を題材にすることが多く、身近なあるあるネタを独自の視点で膨らませて笑いに変えるのが得意です。例えば、「ママ活」(年上女性との交際で金銭支援を受ける若者を題材にしたネタ)を扱った漫才では、生活感あふれる設定に鋭いツッコミを織り交ぜた展開で観客を笑わせました。実際、この「ママ活」のネタは完成度が高いと評判で、彼らがUNDER5 AWARDで優勝した際にも披露され大きな反響を呼びました。こうした巧みな構成と勢いのある掛け合いで、「おもしろい!」と観客を惹きつける漫才を次々に生み出しています。なお、結成当初はコントも行っていましたが、現在は漫才を中心に据えつつ、フリートークでも独自のセンスを発揮するなど多彩なお笑いスタイルを見せています。
ブレイクのきっかけと人気上昇の瞬間
金魚番長が大きく注目を浴びたブレイクの瞬間は、やはり2023年のUNDER5 AWARD優勝がきっかけでした。この大会は芸歴5年目以内の超若手芸人を対象とした新設の賞レースで、初代王者に輝いたことで彼らの名が一気に全国区に知れ渡ります。それまで劇場を中心に活動していた金魚番長でしたが、優勝後はテレビやラジオ、SNS上で話題に取り上げられる機会が増え、一躍「次にブレイクする芸人」として脚光を浴びました。特にUNDER5優勝直後は仕事のオファーが殺到し、多忙を極めたと言います。実際、大会後は約1ヶ月間一日も休みがないほどスケジュールが埋まったほどで、所属事務所から待望のマネージャーが正式につくことになりました。本人たちはこれを「本当に革命が起きた」と表現しており、この優勝がいかに大きな転機だったかが窺えます。
もちろん、それ以前から着実に実力をつけていた点も見逃せません。結成わずか1年目でNSC卒業ライブ優勝という快挙は彼らのポテンシャルを示すものでしたし、その後も劇場ライブで結果を残し続けたことがブレイクへの土台となりました。2021年に神保町劇場のランキング最上位に食い込んだ頃から、熱心なお笑いファンの間では「金魚番長は面白い」と評判になり始めており、ライブシーンでは既に人気者となっていたのです。そうした下積みと話題が積み重なり、テレビやメディアでの露出増加と2023年の賞レース制覇が合わさって、一気に大ブレイクを果たしたと言えるでしょう。
テレビ・ラジオなどメディア出演
劇場での活躍と賞レースでの実績を引っ提げて、金魚番長はテレビやラジオといったメディア出演も着実に増やしています。テレビでは、2019年に中京テレビのネタ番組「前略、西東さん」に初出演し注目を集めました。その後も2020年にはTBSの深夜番組「有田ジェネレーション」に出演し、若手ながら先輩芸人たちに混じって爪痕を残しています。また2023年にはTBSの新人発掘番組「お笑いエスポワール号」に登場し、地上波全国ネットでもネタを披露しました。さらにBSよしもとの情報バラエティ「キクテレミルラジ265」では火曜レギュラーMCを担当するなど、テレビでの露出が徐々に拡大しています。2024年以降もテレビ朝日のコント番組「ナイチン街レトロ」への出演や、関西テレビの人気番組「千原ジュニアの座王」にも出演を果たし、幅広い番組で存在感を示しています。
ラジオの分野でも活躍しており、2021年から音声配信サービスstand.fmで「金魚番長のデメキン」というレギュラー番組をスタート。軽妙なフリートークとネタコーナーでファンを増やしました。その勢いは地上波ラジオにも波及し、2023年末にはTBSラジオ特番「金魚番長のコメリンZ」を担当。さらに2024年4月からは念願の地上波レギュラー番組となるTBSラジオ「金魚番長のデメキング」がスタートし、毎週深夜にパーソナリティを務めています。ラジオではテレビとは一味違う素のトークや企画で笑いを届けており、「声だけでも面白い」と評判です。こうしたテレビ・ラジオでの経験は、金魚番長の知名度向上に大きく貢献するとともに、コンビとしてのトーク力や対応力をさらに磨く場にもなっています。
SNS・動画配信での活躍
昨今のお笑い芸人らしく、金魚番長はSNSや動画配信も積極的に活用しています。特に力を入れているのが公式YouTubeチャンネル「金魚番長ちゃんねる」で、2020年からコンスタントに動画を投稿しています。漫才やコントの動画はもちろん、舞台裏の様子やチャレンジ企画など多彩なコンテンツを配信し、オンライン上でもファン層を拡大しました。チャンネル登録者数は約2.9万人(2025年2月時点)に上り、総再生回数は約637万回を突破しています。ネタ動画の中にはM-1グランプリ準々決勝で披露した「デート」や敗者復活戦での「英語の歌」漫才なども公開されており、テレビで見逃した人も動画で楽しめるようになっています。特に代表ネタである「ママ活」の動画は大会優勝を機に再生数が伸び、「何度見ても笑える」とファンの間で好評です。
また、Twitter(X)やInstagramといったSNSでも情報発信を行っています。古市は自身のInstagramで日常の一コマやライブ出演の様子を投稿しており、フォロワーは2万人以上に達しています(2024年時点)。コンビの公式Twitterアカウントでは出演情報や動画の更新告知を行うほか、ライブ終了後のツーショット写真や楽屋裏話も発信してファンとの交流を深めています。SNS上でバズったエピソードとしては、古市が後輩芸人に衣装をプレゼントしたもののすぐ別の衣装に替えられてしまいツッコむ投稿や、「#金魚番長かわいい」とファンがコンビ仲の良さを語る投稿など、小さな話題からコンビのキャラクターが伝わってくるエピソードも多々あります。YouTubeやSNSでの地道な発信により、「劇場に行けなくてもお笑い動画で金魚番長を知った」という新規ファンも増えており、ネット上での影響力も無視できない存在となっています。
他の芸人との関係・コラボレーション
金魚番長は同期や先輩後輩とのコラボレーションにも積極的で、人脈の広さでも知られます。NSC東京24期の同期には、白桃ピーチよぴぴやタイムキーパー、令和ロマンなど個性的な芸人が揃っており、切磋琢磨しながら共にブレイクを目指す仲間同士です。特に同期首席ということもあり、同期ライブではリーダー格として頼られる存在でした。先輩芸人との絡みでは、南海キャンディーズ山里亮太から前述の助言を受けたエピソードが有名なほか、2020年にはM-1王者マヂカルラブリーや人気コンビのニューヨークとともにYouTube番組「ニューヨークのニューラジオ」にゲスト出演し、実力派先輩たちに可愛がられる場面もありました。ニューヨークの屋敷からは「金魚番長、大先生!」とイジられつつも期待を寄せられるなど、そのトーク力と愛されキャラぶりが垣間見えました。
また、自主企画ライブでは他の芸人を積極的に招き、多彩なコラボを実現しています。例えば金魚番長が主催するライブシリーズ「大番長キンギョブラザーズ」では、毎回ゲストに同世代の人気芸人を迎え共演ネタを披露しました。これまでにエバース、令和ロマン、ヨネダ2000といった注目株をゲストに呼んだ回もあり、若手同士のクロスオーバーでお互いの持ち味を引き出すステージはファンからも好評です。「キンギョの奇妙な冒険」と題した定期ライブでは、金魚番長自身が毎月5本もの新ネタを書き下ろして披露し続けるストイックさで知られ、共演する芸人たちにも良い刺激を与えています。こうしたコラボやライブ活動を通じて培ったネットワークが、金魚番長の笑いの幅を広げ、人間関係にも厚みを持たせていると言えるでしょう。芸人仲間からの信頼も厚く、「神保町よしもと漫才劇場の兄貴分的存在」として慕われているエピソードもあるほどです。
代表的なエピソード・裏話
金魚番長には、ファンの間で語り草になっているエピソードや裏話がいくつか存在します。その一つが古市の学歴にまつわるエピソードです。古市勇介は上智大学経済学部に在学していましたが、2023年3月に中途退学していたことを後になって公表しました。実は卒業したと一時期偽っていたため、ファンから「大学卒」と思われていたのですが、心苦しくなった古市は2023年9月に自身のYouTubeチャンネルで「実は上智大を卒業していませんでした」と謝罪報告動画を公開。正直に告白したことで大きな話題となり、「潔くて好感が持てる」とファンからはむしろ応援の声が上がりました。この件以降、古市は「嘘をついてしまった番長」とイジられることもありますが、ネタに昇華することで笑いに変えています。
もう一つ有名なのが、古市の体を張った自己紹介事件です。NSC在学中、初めての自己紹介の場で古市がなんと全裸で自己PRをするという奇行に及び、講師陣から大目玉を食らったという逸話があります。本人いわく「爪痕を残したかった」とのことですが、度を超えたアピールに同期も騒然となり、この話は伝説的な裏話として語り継がれています。幸い懲りずに芸人の道は続け、むしろこの大胆さが古市の持ち味(憎めない愛されキャラ)として活きているのはご愛嬌でしょう。
また、衣装に関するエピソードも興味深いです。金魚番長は結成当初、古市が私服の黄色いトレーナーを衣装代わりに着ていましたが、2021年10月のライブで新調した黄色のジャケット姿を初お披露目しました。以降はこのジャケットがトレードマークになりましたが、2023年にUNDER5 AWARDで優勝した際の副賞として「洋服の青山」提供のオーダーメイドスーツ(オレンジ色)を贈られます。古市は大喜びでこのスーツに袖を通し、同年12月から晴れて新衣装として着用するようになりました。劇場仲間からは「一気に貫禄が出た!」と冷やかされつつ、ファンからは「ますます番長感が増した」と評判です。こうした細かなエピソードにも金魚番長の歩みと人柄が表れており、知れば知るほど愛着が湧いてくるコンビだと言えます。
今後の展望と最新情報
着実にステップアップを続ける金魚番長の今後の展望にも大きな期待が寄せられています。本人たちは公言している通り、「次はM-1グランプリ優勝を完全にロックオンしている」と語っており、これまで参加した大会をことごとく制してきた勢いのまま、漫才日本一の座を狙っています。2024年のM-1では準決勝まで進出し敗者復活戦でも健闘しましたが、あと一歩で決勝進出を逃した悔しさから「必ずリベンジする」と闘志を燃やしています。既に実力は折り紙付きだけに、翌年以降の大会で悲願を達成する可能性は十分あるでしょう。
最新情報としては、レギュラー出演中のTBSラジオ「金魚番長のデメキング」が好評を博しており、深夜番組ながらリスナーからのメールが急増するなど反響が大きいようです。また、2025年2月には北海道のテレビ番組に出演しご当地グルメロケに挑戦するなど、バラエティ分野での活躍の幅も広がりつつあります。劇場ライブでは新ネタを次々と投入し続けており、「常に進化する漫才師」として評価が高まっています。本人たちは「テレビで密着されるような存在になりたい」「お笑い界に新風を巻き起こしたい」と語っており、その言葉通り精力的に活動中です。
今後はテレビのゴールデン進出や冠番組の獲得なども十分視野に入っており、2020年代後半のお笑いシーンを担うコンビとしてさらなる飛躍が期待されます。既に業界内でも評価は高く、劇場の先輩から「金魚番長なら安心して任せられる」と太鼓判を押される存在です。ファンにとっては彼らのおもしろい漫才をテレビや配信で目にする機会が増えるのは嬉しい限りでしょう。ブレイク街道を突き進む金魚番長から目が離せません。これからも新たな笑いと話題を提供してくれることでしょう。