ジャルジャル特集:プロフィールからネタの魅力、YouTube戦略と今後の展望まで
ジャルジャルとは?
シュールで中毒性のあるコントで、世代を問わず愛され続けているお笑いコンビ・ジャルジャル。高校の同級生だった2人が結成し、独自の世界観のネタでお笑いファンを魅了しています。本特集では、ジャルジャルのプロフィールや芸風の特徴、主要な実績から人気の理由、さらにYouTubeでの戦略や今後の展望まで、専門的な分析を交えつつ楽しく解説します。
ジャルジャルのプロフィール(メンバー経歴・結成のきっかけ)
●結成メンバーと経歴
ジャルジャルは後藤淳平(ごとう じゅんぺい)と福徳秀介(ふくとく しゅうすけ)による男性コンビです。2人は大阪の関西大学第一高等学校の同級生で、ラグビー部で一番仲が良かった友人同士でした。後藤淳平は1984年生まれ(大阪府吹田市出身)、福徳秀介は1983年生まれ(兵庫県芦屋市出身)で、ともに吉本興業の養成所・NSC大阪校25期生として在籍しています。高校在学中からお笑いオーディションに興味を持ち、授業中に携帯メールで互いに笑わせ合ったりしてネタ作りの原点を培いました。大学進学と並行してNSCに通い、2003年4月にコンビ「ジャルジャル」を正式に結成します。結成当初から劇場やライブで活動を重ね、徐々に頭角を現していきました。
●コンビ名の由来と当初の活動
「ジャルジャル」というコンビ名は、一度聞いたら忘れないようなリズム感のある響きを狙って名付けられたと言われています(※諸説あります)。結成直後の2000年代前半は、大阪の劇場を中心に漫才・コント両方を演じて経験を積みました。新人時代には「BGO上方笑演芸大賞新人賞(2005年)」や「NHK新人演芸大賞(2007年)」「ABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞(2008年)」など数々の新人賞を受賞し、その実力が早くから評価されています。また、東京進出のきっかけとして2009年にはフジテレビ系列のコント番組『爆笑レッドシアター』にレギュラー出演し知名度を高めました。その後もテレビ朝日『笑いの金メダル』など全国ネットの番組で活躍し、漫才・コント双方で注目される存在となっていきます。
●影響を受けたお笑い芸人や文化
ジャルジャルの特徴の一つは、「特定の先輩芸人の影響を強く受けていない」点です。高校時代、部活に打ち込んでいた2人は当時絶大な人気を誇ったダウンタウンの番組をあまり観ておらず、お笑いの基礎を互いを笑わせ合う中で独自に築きました。唯一ハマっていたのはピン芸人のふかわりょうの本で、福徳が持っていた著書を後藤に貸し、お互いにクスっと笑い合っていたそうです。また、後藤は替え歌ネタで知られる嘉門達夫のファンで、家族ぐるみで楽曲を楽しんでいたといいます。つまり、ジャルジャルの笑いの原点は有名なお笑い番組や王道の漫才スタイルよりも、身近な友人同士の内輪ウケやニッチな笑いにありました。そのおかげで「誰の影響も受けずに独自の進化を遂げた特異な存在」とも評され、他に類を見ないオリジナリティを確立しています。
ジャルジャルの芸風とスタイル(ネタの特徴・独自性)
●代表的なネタとコントの特徴
ジャルジャルの芸風は、一言で言えばシュールで独特です。漫才でもコントでも、日常の何気ないシチュエーションを題材にしつつ、常識を外れた展開やしつこいほどの反復ボケで笑わせるスタイルが特徴的です。例えば、漫才では高校の校内放送を題材にした「変な校内放送の奴」というネタで、掟破りな放送部員のボケを延々と繰り返し観客を爆笑させ、2017年のM-1グランプリでも強烈な爪痕を残しました。コントでは、コント職人ぶりが際立つ設定の緻密さと演じ分けで評価が高く、「野次ワクチン」や「空き巣タンバリン」(いずれも後述のキングオブコント2020で披露)など、一度聞いたら忘れられない奇抜なタイトルと内容の作品が数多くあります。
●コントスタイルの独自性
ジャルジャルのネタは、一見するとナンセンスなのに妙にリアルな「あるある」要素も含まれており、その絶妙なバランス感覚がクセになると評判です。2人ともボケとツッコミの役割に固定されず、ネタに応じてフレキシブルに立ち位置を変えるのも特徴です。ときには2人ともボケ倒し、観客が「どこでツッコめばいいんだ!?」と戸惑うようなカオスな空間を生み出すことさえあります。しかしその混沌も計算尽くで、最後には不思議とオチに収束していく高度な構成力があります。テンポの良い掛け合いや言葉遊びのセンスも光っており、ネタによっては音楽リズムに乗せてラップ調に展開するなど(例:「ヒップホップ漫才」ネタ)、飽きさせない工夫が凝らされています。
●即興性や演技力への評価
舞台上で繰り広げられるジャルジャルのコントは、まるで即興劇を見ているかのようなライブ感があります。実際には綿密に練り上げられたネタでも、長年のコンビ仲ならではの呼吸合わせでアドリブのような間合いや表情を見せ、観客を引き込んでいきます。その高い演技力はお笑い界でも折り紙付きで、コント中に演じるキャラクターになり切る没入感は「役者顔負け」との声もあります。事実、審査員として何度も彼らの芸を見てきたダウンタウンの松本人志も「ジャルジャルはホントにとっくに優勝しててもおかしくない実力のあるコンビ」だと賞賛しています。漫才からコントまで幅広く演じ分けるジャルジャルの表現力と芸の引き出しの多さは、同業芸人からも一目置かれる存在と言えるでしょう。
主要な活動と実績(賞レース成績・YouTubeやSNSでの影響力・海外進出)
賞レースでの活躍
ジャルジャルは結成以降、漫才・コント両方のお笑い賞レースで快挙を成し遂げてきました。漫才のM-1グランプリとコントのキングオブコントという日本お笑い界の二大大会において、両方で決勝に進出した唯一のコンビでもあります。M-1グランプリでは2010年に初の決勝進出(最終8位)を果たし、2015年大会で第3位入賞。さらにラストイヤーとなった2018年大会でも再び第3位となり、毎回独創的な漫才で観客と審査員を唸らせました。一方、コント日本一を競うキングオブコントでも常連のファイナリストで、2010年大会で第4位入賞、以降も決勝の舞台に何度も駒を進めています。そして迎えた2020年大会で悲願の初優勝を達成しました。この大会では、1本目に披露した審査員イジリを盛り込んだ風刺的コント「野次ワクチン」と、2本目の奇想天外な設定「空き巣タンバリン」がハマり、見事13代目キングの座に輝きました。優勝会見で後藤は「第1回から挑戦して、やっと獲れた。最高です」と喜びを語り、福徳は溢れる涙で念願のトロフィーを抱きしめました。まさに長年の挑戦が実を結んだ瞬間であり、彼らのキャリアにおける大きなハイライトとなりました。
こうした賞レースでの活躍は枚挙にいとまがなく、他にも新人時代にABCお笑いグランプリ2013で優勝するといった実績も残しています。漫才・コント両刀使いでトップクラスの成績を残すジャルジャルは、お笑いファンのみならず業界内からも「真のお笑い実力者」として認められる存在となりました。
YouTubeやSNSでの活動と影響力
ジャルジャルはテレビや舞台だけでなく、インターネット上でも革命的な活動を見せています。実は彼ら、2019年頃からいち早く公式YouTubeチャンネル「ジャルジャルタワー」を開設し、毎日欠かさず新作コント動画をアップし続けています。これは当時としては異例の試みで、他の芸人たちが本格的にYouTubeに進出する約2年前から先駆けて取り組んでいたものです。チャンネル開設以来アップし続けたネタ動画は2020年8月に通算1000本を突破し、その勢いは現在も継続中。毎日更新される動画シリーズ「〇〇な奴」(○○なやつ)は、架空の高層マンション「ジャルジャルタワー」の各階に住む個性的なキャラクターたちの日常という設定で展開され、2039年11月にタワー完成予定という長期プロジェクトになっています。このユニークな企画と圧倒的な更新頻度でファンを増やし続け、現在チャンネル登録者数は150万人を突破。動画総再生回数も驚異的な数字を叩き出しており、ネット上での影響力もお笑い界トップクラスです。
YouTubeで得られる視聴者の反応は、彼らにとって貴重なフィードバックとなっています。実際、アップしたネタの人気やコメントを参考にしながら新作をブラッシュアップし、先述のキングオブコント2020で披露するネタ選びにも活かしたといいます。このようにテレビ以外の場で直接ファンと双方向にコミュニケーションを取りながら笑いを磨くスタイルは、従来の芸人像を大きく変えるものでした。ジャルジャルに続けと、多くの若手・中堅芸人もYouTubeやSNSでの発信に力を入れるようになったのも彼らの功績と言えるでしょう。公式チャンネル以外にも、企画チャンネル「ジャルジャルアイランド」を立ち上げたり、月額制のオンラインサロン「ジャルジャルに興味ある奴」を開設したりと、新しい媒体でファンとの接点を増やしています。常に「やりたいことをやる」という信念で挑戦を続けるジャルジャルの姿勢が、多くのフォロワーを生み出しお笑い界全体に刺激を与えているのです。
海外進出と国際的な評価
ジャルジャルの才能は日本国内に留まらず、海外にも進出し始めています。2022年8月には英語圏最大の演劇祭と言われるエディンバラ・フェスティバル・フリンジ(英国)において、約1か月間・計23公演にわたる単独ライブ『ARIGATO by JARUJARU』を開催しました。現地の観客に対して日本流コメディを披露し、公演は連日盛況だったと言います。これは吉本興業が2010年代から積極的に進めている芸人の海外展開の一環でもあり、ジャルジャル自身も国際舞台で手応えを感じたようです。また、過去にはロンドンでのコントライブを収録したDVD『JARUJARU IN LONDON』をリリースするなど、早くから海外公演にチャレンジしてきました。YouTubeで世界中に発信しているショートコントもあり、コメント欄には海外のファンから英語での賞賛が寄せられることもあります。言葉の壁を超えたフィジカルな笑いや、どの国にも共通するような普遍的な「あるある」をネタにするスタイルは、外国人にも伝わりやすく評価されているようです。今後さらに国際的な場でジャルジャルの名が知られていけば、日本のお笑いが世界で通用する一つのケーススタディとして注目を集めるでしょう。
ジャルジャル人気の理由とファン層(支持される要因・他芸人との違い)
●唯一無二の笑いへのこだわり
ジャルジャルが幅広い層から支持される最大の理由は、その唯一無二の笑いのスタイルにあります。他の芸人には真似できない発想力と徹底したこだわりでネタを作り込み、「ジャルジャルにしか出せない笑い」を追求し続けている点がファンの心を掴んで離しません。前述したように彼らは特定の先人の影響を色濃く受けていないため、型破りでオリジナリティ溢れる笑いを創出できます。例えば、一般的なお笑いコンビであればツッコミ役が即座に否定して終わるようなボケも、ジャルジャルはあえて肯定し合い、そのボケをしつこいほど反復して新たな笑いに発展させます。観客は「またこの展開かよ!」と突っ込みつつも、その予測不能な展開に笑わされてしまうのです。このクセになる中毒性は一度ハマったファンを虜にし、リピーター化させる強力な魅力となっています。
●幅広いファン層と支持される要因
ジャルジャルのファン層は実に幅広く、子どもからお年寄りまで年代を問わず人気があります。シュールでありながらどこか憎めないキャラクターや、学校・職場など身近な題材を使ったネタが多いため、「自分にも心当たりがある」と感じて笑うライトなファンから、「この発想はなかった!」とその創造性に痺れるコアなお笑いファンまで、様々な層を惹きつけているのです。また、ジャルジャルの2人自身が高校時代からの親友という気心知れた間柄であることも大きいでしょう。長年培ったコンビ愛と信頼感が舞台上でも伝わり、観客は安心してボケとボケの掛け合いに身を委ねることができます。さらに、彼らは人を傷つけるような過激な笑いではなく、ナンセンスだけど平和でクスッと笑える世界観を提供します。昨今お笑い界で議論になるような差別的・攻撃的な表現に頼らないため、クリーンで純度の高い笑いとして好感を持たれている面もあるでしょう。
他の芸人との違いとしては、やはりネタへのストイックさが挙げられます。ジャルジャルはテレビのバラエティ出演などで安易にキャラクター化して消費されることを良しとせず、常に新ネタの創作とライブでの研鑽を優先してきました。そのため「ザ・芸人」のような親しみやすいトークキャラはあまり打ち出していませんが、逆にそれが“ネタ職人”ジャルジャルという硬派なイメージを確立し、熱心なお笑いファンから支持される理由となっています。実際、M-1やキングオブコントで敗れても毎回独創的な芸風で注目を集め、「優勝は逃しても一番印象に残った」「審査員ウケより観客ウケする笑いだった」といった評価がネット上でもよく聞かれました。同業の芸人たちからも「ジャルジャルが一番面白かった」と絶賛されることが多々あり、プロから見ても面白い芸人だという信頼が彼らのブランドになっています。こうした積み重ねがジャルジャルの人気を不動のものとし、唯一無二の地位を築き上げているのです。
ジャルジャルの今後の展望とお笑い界への影響
●今後の活動予測
2020年にキングオブコント優勝という一つの到達点を迎えたジャルジャルですが、その歩みはまだまだ続きます。まず注目すべきは、現在進行中のYouTube企画「ジャルジャルタワー」の行方です。先述の通り2039年の完成まで毎日ネタ投稿を続ける超長期プロジェクトであり、今後も途切れることなく新作コント動画が世に放たれていくでしょう。この間に投稿本数は最終的に8000本近くに達する計算で、まさに前人未踏の挑戦です。コンビ結成から20年以上を経てもなお「毎日新ネタを出す」という創作意欲と発信力には驚かされるばかりですが、その安定した量産体制とクオリティ維持はジャルジャルならではです。おそらく今後も彼らはテレビより自主企画やネット配信を重視しつつ、ライブ公演や映画出演、書籍出版など活動のフィールドをさらに広げていくでしょう。実際、近年では福徳が小説家デビューを果たし自著が映画化決定、NHKの朝ドラに俳優として出演するなど、お笑い以外の分野でも活躍の場を広げています。後藤も演技力に定評がありドラマ出演経験がありますし、今後コンビ揃って役者業や脚本・演出に関わる可能性もあります。さらに海外展開も含め、新たな挑戦に貪欲な2人だけに、「次はこう来たか!」とファンを驚かせる企画がきっと待っているはずです。
●お笑い界への影響とジャルジャルの役割
ジャルジャルがお笑い界に与えた影響は計り知れません。まず挙げられるのは、デジタル時代のお笑いの在り方を先導したことです。テレビや劇場での活動が主流だった芸人たちにとって、YouTubeで毎日ネタを配信し収益を上げるというモデルは目からウロコでした。彼らの成功を受けて、多くの人気芸人が続々とYouTubeチャンネルを開設し始めたのは周知の通りです。いわばジャルジャルは「お笑い第七世代」と呼ばれる若手より一世代上ながら、新時代のプラットフォームを開拓したパイオニアだったと言えるでしょう。さらに、漫才とコントの両方で頂点を目指し実際に結果を残したことで、ジャンルの垣根を超えて活躍する道筋も示しました。かつては漫才師・コント師と明確に活動の場を分ける風潮もありましたが、ジャルジャルのように柔軟に笑いの形を変えるコンビが評価されたことで、後輩芸人たちも枠にとらわれない発想で芸を磨くようになっています。
また、ジャルジャルの存在はお笑いファン層の拡大にも寄与しました。シュールすぎて敬遠されがちだったコントの世界にカジュアルなイメージを与え、「コントってこんなに面白かったのか」と再認識させた功績は大きいです。実際、キングオブコント2020での優勝以降、ジャルジャルのYouTube登録者が飛躍的に増えただけでなく、他のコント師たちの動画も注目されるようになるなど、お笑い界全体が活性化しました。彼らのネタから生まれたフレーズ(「〇〇な奴」シリーズのタイトルや独特の言い回し等)がネットミーム化し、一般の日常会話に紛れ込むこともあります。こうした文化的波及効果も含め、ジャルジャルは現代お笑いシーンのキーパーソンであり続けています。
今後、ジャルジャルが迎えるであろう新たなステージとして、師匠的立場でのお笑い界への還元も期待されます。既に中堅からベテランの域に差し掛かりつつある2人は、自分たちのスタイルを貫くだけでなく、後進の育成や業界全体の発展にも寄与していくことでしょう。ネタ番組が減少傾向にあるテレビ業界に対して、自主制作でここまでやれるという成功例を示した意義は大きく、今後もその存在感でお笑い界を牽引していくはずです。「第二のダウンタウンではなく、第一のジャルジャルになれ」という言葉がありますが、彼らはまさに唯一無二の道を歩みながら、日本のお笑い史に新たなページを刻み続けるに違いありません。
おわりに:ジャルジャルの魅力は尽きない
常に新しい笑いに貪欲で、ファンを楽しませることに全力なジャルジャル。彼らの歩みを振り返ると、その挑戦の連続と独創性に改めて驚かされます。プロフィールから芸風、実績、そして未来への展望まで、語れば語るほどジャルジャルの魅力は尽きません。テレビや舞台で見せる爆発的な笑いも、YouTubeで毎日届けてくれる身近な笑いも、根底にあるのは「自分たちが面白いと思うことをとことん追求する」というブレない姿勢でしょう。その芯の強さこそが多くの人々に愛される理由であり、ジャルジャルというコンビの物語をさらに面白くしている原動力なのです。これからもジャルジャルから目が離せません。そのネタがどんなに斜め上を行こうとも、我々ファンはきっと笑い転げながらついていくことでしょう。