EXIT特集:ネオ渋谷系・チャラ漫才師の魅力に迫る
EXITとは?
EXIT(イグジット)は、りんたろー。と兼近大樹(かねちか だいき)からなる日本のお笑いコンビです。2017年にコンビ結成。もともとりんたろー。は相方の不祥事で前コンビ「ベイビーギャング」を解散後ピン芸人として活動しており、兼近も前コンビ「ぷりずん。」を解散したタイミングで声をかけたことがきっかけでコンビが誕生しました。結成当初はM-1グランプリ出場のため「SCANDAL(スキャンダル)」という即席コンビ名で大会に臨み3回戦まで進出、その手応えから2017年12月に正式に「EXIT」を結成しました。コンビ名はりんたろー。が「EXILEっぽい名前にしたい」と考え、「EX」で始まる単語からEXITを選んだと言います。また兼近は「全ての人の辛いこと・ストレスの出口になれれば」という願いを込めたとも語っています。まさに名前の通り、若者を中心に観る者の悩みやモヤモヤを笑いで吹き飛ばす存在となっています。
EXITの芸風は「ネオ渋谷系漫才」と称され、いわゆる「チャラ男」キャラの2人がテンポよく漫才を繰り広げるスタイルです。髪を派手に染めたファッションや若者言葉を多用した軽快なおしゃべり漫才(しゃべくり漫才)が特徴で、ツッコミ担当はりんたろー。、ボケ担当が兼近大樹です(立ち位置は向かって左がりんたろー。、右が兼近)。ネタ作りは主にりんたろー。が行っており、現代のギャル語・チャラ語と古風な言い回しを絶妙にミックスしたフレーズを多用します。たとえば「お後がHere we go!」という締めセリフは、伝統的な落語の締め「お後がよろしいようで」と英語の「Here we go」を掛け合わせた彼らならではの名文句です。他にも「バイブスいと上がりけり」のように若者slangと古語を組み合わせた独特のワードセンスで笑いを取り、観客を「マジ卍!」(本気ですごい!)と盛り上げます。こうしたギャグ一つひとつに分析してみると、チャラい見た目と言葉遣いの中に高度な言葉遊びとセンスが光っており、単なるキャラクター漫才に留まらない奥深さがあります。
代表的なネタとしては、日常の様々なシチュエーションをチャラ男流にアレンジした漫才コントが挙げられます。例えばアルバイトの面接や学校生活の場面を舞台に、2人がチャラい若者になりきってボケとツッコミを展開するスタイルが定番です。りんたろー。の落ち着いた口調のツッコミと、兼近のキレのあるボケが絶妙にマッチし、「お笑い第7世代」の代表格らしい今風の爆笑ネタに仕上がっています。彼らのネタは一見すると軽薄なチャラチャラした会話劇ですが、その実どこかハートフルでポジティブなメッセージ性を感じさせる点も特徴です。観る者が嫌な気持ちにならず、明るく前向きな笑いで締めくくるネタが多いため、「観終わった後になぜか元気になれる」といった声も多く、世代を超えて支持を集めています。
メンバー紹介
りんたろー。プロフィール(経歴・キャリア・個性)
本名:中島 臨太朗(なかじま りんたろう)。1986年3月6日生まれ。静岡県浜松市出身で、学生時代はサッカー一筋の青春を送っていました。小学2年から大学4年までの14年間ゴールキーパーとして活躍し、名門校でもサッカー部に所属。プロ選手を目指しましたが、大学4年時のケガで断念し、その後東京NSCに14期生として入学しお笑いの道へ進みました。2011年、北見寛明とコンビ「ベイビーギャング」を結成して一度はブレイクしかけます。フジテレビの若手芸人番組『バチバチエレキテる』などにレギュラー出演しましたが、相方の不祥事(無免許運転による逮捕)が発覚しコンビは2016年に解散。一時は芸人活動の自粛を余儀なくされました。その後、芸名を現在の「りんたろー。」に改名してピン芸人として復帰。介護施設でアルバイトをしながら漫談など細々と活動を続けていたところ、2017年に兼近大樹から声をかけられ、新コンビ「EXIT」を組むことになります。
りんたろー。はネタ作り担当でツッコミ役というポジションですが、本人のキャラクターは見た目通りの派手好き・宴好きなチャラ男…というわけではありません。実は根は優しく真面目で、EXIT結成前に働いていた高齢者介護の仕事では「自分に向いていた」と語るほど丁寧に取り組んでいたそうです。そうしたギャップも彼の個性であり、漫才でも相方のボケに振り回される常識人役を演じつつ、どこか包容力のある雰囲気で観客を安心させています。また美容や筋トレ、お酒など趣味も多彩で、180cmの長身から繰り出す派手なファッションも注目ポイントです。近年では俳優業にも挑戦しており、2021年のフジテレビドラマ『監察医 朝顔』や2023年公開の映画『Gメン』に出演するなど活動の幅を広げています。2022年には自身初の著書となるエッセイ『自分を大切にする練習 コンプレックスだらけだった僕が変われたすべてのこと』を出版し、自身の経験を通じて「自分に自信のない人へのエール」を送るなど、芸人以外の顔でも若者に影響を与えています。チャラ男キャラで笑わせながらも実は努力家で面倒見が良い――それがりんたろー。という人物の魅力です。
兼近大樹プロフィール(経歴・キャリア・個性)
本名:兼近 大樹(読み同じ)。1991年5月11日生まれ。北海道札幌市出身。少年時代は両親の離婚により複雑な家庭環境で育ち、中学卒業後は定時制高校に進学するも妹の学費を稼ぐため中退し、新聞配達や建設作業など昼夜問わず働いて家計を支えました。苦労の多い青春時代を送る中で、20歳の頃に又吉直樹(ピース)の著書『第2図書係補佐』と出会ったことが転機となります。本をほとんど読まなかった彼がこのエッセイをきっかけに読書の楽しさを知り、「又吉さんのようになりたい」とお笑い芸人を志すようになりました。東京NSC19期生として入所後、2014年に逢見亮太とコンビ「ぷりずん。」を結成して活動開始。当初は芸人以外にモデルやアイドル的活動も経験し、下積み時代を経ます。2017年に相方が活動休止したためコンビを解散し、一時は吉本の企画でタイの住みます芸人(海外駐在芸人)になる話もありましたが、兼近自らりんたろー。を誘ってM-1用の仮コンビ「SCANDAL」を組み、後にEXITとして正式デビューしました。
兼近大樹は派手なピンク髪に明るい笑顔、軽快なチャラ男キャラでボケを担当しています。しかしその明るさの裏には自身の壮絶な人生経験があり、過去には法に触れる問題を起こしてしまったことも公表しています。そうした過去を含めて自らネタに昇華し、「更生」をキーワードに社会貢献活動にも積極的に関わっている点が彼の大きな特徴です。2019年には吉本男前ランキングで堂々の1位に輝き、ルックス面でも注目を集めました。また小説家としても才能を発揮し、2021年に自伝的小説『むき出し』を発表。2023年には自身初の写真集『虚構』を発売するなど、お笑い以外の分野でも精力的に活動しています。俳優としても2023年の連続ドラマ『ホスト相続しちゃいました』に主要キャストで出演するなど、メディア露出も増加中です。
兼近の個性は何と言ってもその天真爛漫なキャラクター。相方のりんたろー。曰く、普段の兼近は「憎めない弟キャラ」のような存在だそうです。舞台上ではキレのあるボケを次々に繰り出し、チャラ男ならではの明るさで観客を巻き込みますが、一方で自身の境遇を活かして社会的メッセージを発することもあります。少年院の更生プログラムに協力したり、バラエティ番組で少年犯罪や教育について語ったりと、「異色のチャラ男芸人」として独自のポジションを築いています。常に周囲を明るく照らす太陽のような存在でありながら、芯の通った信念を持ち合わせている――それが兼近大樹という芸人の魅力です。
EXITの人気の理由
EXITがここまで人気を博している理由には、いくつかのポイントが挙げられます。
メディアでの活躍
結成以降、EXITはテレビやラジオ、ネットなど多様なメディアで目覚ましい活躍を見せています。その主な活動歴を分野ごとに振り返ります。
このようにEXITはテレビ、ネット、ライブとあらゆるフィールドで存在感を示しており、「お笑い芸人」の枠にとどまらないメディアミックスな活躍ぶりが特徴です。今後もその勢いは増すばかりで、多方面からのオファーが絶えない状況です。
社会貢献活動と影響力
華やかな活躍の一方で、EXITは社会貢献活動やメッセージ発信にも熱心です。特に兼近大樹は自身の過去の経験から、社会問題や慈善活動に積極的に関わっています。
兼近は2019年、自らの過去の犯罪歴が報じられた際に即座に事実を認め謝罪し、「更生」の大切さを世間に訴えました。以降、自分と同じように過ちを犯した若者たちを支援すべく行動を起こしています。2022年には『24時間テレビ』でチャリティーマラソンランナーに立候補し、見事100kmを完走。放送終了間際にゴールする姿は多くの視聴者に感動を与え、「諦めなければ道は開ける」という力強いメッセージを伝えました。また少年院を訪問して更生プログラムに協力したり、犯罪被害者支援のイベントに参加するなど、社会的弱者やマイノリティに寄り添う活動も行っています。こうした兼近の姿勢は「チャラく見えて芯がある」「言葉に重みがある」と評価され、若者だけでなく幅広い世代から支持を集める要因となっています。
EXITとしても、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みに積極的です。2019年にはお笑いを通じてSDGsを広めるイベントで、オレオレ詐欺(振り込め詐欺)など社会問題を題材にしたネタを披露し優勝。そこで得た「笑いで社会を良くする」という手応えから、その後もSDGs関連の企画に多数参加。2021年には米国のバッグブランドとのコラボレーションでエコバッグを発表し、オンラインイベントで若者に環境問題への関心を促しつつ、楽しみながら購入できるサステナブル商品として注目を集めました。さらにラジオ特番で環境問題についてゲストと真剣に語り合ったり、ファッション誌の連載で日常でできるエコな行動を提案するなど、エンタメの枠を超えて社会に良い影響を与える発信を続けています。兼近個人も子供好きで知られ、街で困っている人を放っておけず率先して助けるエピソードが度々SNSで話題になります。りんたろー。も介護経験から高齢者問題に関心が高く、福祉関連のイベントに参加するなど陰ながら社会貢献しています。
こうした活動を通じてEXITが発するメッセージ性も見逃せません。兼近の「全ての人の苦しみの出口になれれば」という言葉に象徴されるように、彼らは常に「笑いで人を救いたい」という信念を持っています。ただ面白いだけでなく、見る人に前向きな気持ちや優しさを届ける——そんな姿勢が若い世代の共感を呼び、「EXITに憧れて更生しました」「辛いときEXITのネタに救われました」という声も上がっています。また2人は自身が辛い経験を乗り越えてきたからこそ、「自分を大切に」「何度でもやり直せる」という力強いメッセージを発信しており、それがファンの背中を押す原動力にもなっています。お笑い芸人として笑いを提供するだけでなく、社会を少しでも良い方向に導こうとするEXITの姿は、新時代の芸人像として高く評価されています。
EXITの今後の展望
結成から数年でお笑い界のトップランナーに駆け上がったEXITですが、その勢いは今後さらに加速していくと見られます。まずお笑いスタイルの進化について、彼ら自身「原点に立ち返るライブをしたい」と語っており、これまで培ってきたチャラ男漫才を一段と磨き上げる意欲を見せています。ネオ渋谷系漫才という唯一無二のポジションを確立した彼らが、今後どんな新ネタや笑いの手法を取り入れてくるのか注目です。もしかすると歳を重ねるにつれてキャラも少しずつ変化し、「大人のチャラ男漫才」へ進化する可能性もあります。実際、最近のネタでは社会風刺やメッセージ色がより強くなってきており、笑いの中に深みを増している印象があります。従来の派手さと新たな円熟味を兼ね備えたスタイルで、お笑い第7世代のみならず次なる世代にも影響を与える存在であり続けるでしょう。
新たな挑戦という点では、すでに触れたように演技や執筆、音楽など多方面への展開が進んでいます。今後はさらに俳優業への本格進出も期待されます。りんたろー。は持ち前の包容力ある雰囲気でドラマ・映画で存在感を発揮していますし、兼近も独特のキャラクターを活かして映像作品で重宝されるでしょう。また2人ともクリエイティブな才能があるため、番組の企画・演出に関わったり、自身でプロデュースするプロジェクトを立ち上げる可能性もあります。ビジネス面でも、過去のコラボ商品がヒットしたことから今後アパレルブランド立ち上げや商品プロデュースなどに乗り出すことも考えられます。実業家として成功する芸人も増えている中、EXITならではのセンスで新ビジネスを手掛ける日が来るかもしれません。
お笑い界におけるEXITの立ち位置は、既に「若手の枠を超えた次代の中心」と言っても過言ではありません。第7世代ブームの牽引役として登場した彼らも、気づけば中堅どころへ差しかかりつつあります。しかしながら常に時代の先端を行く感性は色褪せず、むしろ芸歴を重ねたことで説得力や安定感が増しています。今後は先輩芸人との共演もさらに増え、業界内での信頼も厚まるでしょう。同時に後輩や新人にとっては憧れの存在となり、「EXITに憧れて芸人を志した」という若者も出てくるはずです。将来的にはテレビの大型特番で司会を務めたり、国民的なお笑い賞レースで審査員を任される日も来るかもしれません。2人が掲げる「すべての人のストレスのEXIT(出口)になる」という目標に向かって、これからも笑いと社会貢献の両面で走り続けることでしょう。
まとめ: 派手な見た目と軽妙なトークで笑わせるEXITは、令和時代を代表するチャラ男芸人コンビです。結成の経緯から芸風、メンバーそれぞれの個性、そして社会への影響力まで、その魅力は実に多面的です。「EXIT 芸人」「EXIT 兼近」「EXIT りんたろー」「EXIT ネタ」「EXIT バラエティ」——こうしたキーワードで検索されることも多い彼らですが、その裏には単なる話題性以上に確かな実力と信念が存在します。今後も唯一無二のスタイルでお笑い界をリードし続けるであろうEXITから目が離せません。その活躍はファンのみならず、新たに興味を持った人々にとっても、大いに楽しみであり続けるでしょう。