ダウ90000: 8人組コントユニットの魅力を徹底解説

2/28/2025
共有:
TwitterLINEFacebook

ダウ90000とは?

ダウ90000(だうきゅうまん)は、2020年に旗揚げされた男女8人組のコントユニットです。メンバーは主宰で脚本・演出担当の蓮見翔をはじめ、園田祥太飯原僚也上原佑太道上珠妃中島百依子忽那文香吉原怜那の8名で、全員が日本大学芸術学部の出身者です。演劇とコントを両立する独自のスタイルで注目を集めており、「劇団」とも「芸人」とも名乗らず“8人組ユニット”という肩書きを使っています。これは「演劇かお笑いかに決めてしまうと仕事が限定される」という蓮見の考えからで、敢えてジャンルを固定しない戦略です。

Notion Image (File via Proxy)

グループ名「ダウ90000」もユニークです。その由来について蓮見は「説明できない名前が良かった」と語っています。アメリカの株価指数「NYダウ」から取った響きに、モンゴル800のように数字をつける発想を組み合わせ、「9」が可愛いというメンバーの一言で“90000”を付けたと言います。特に深い意味は込めず、「意味を持たせると劇団っぽくなってしまう」ため敢えてインパクト重視で付けた名前でした。蓮見自身「由来を聞かれても説明できない方がいい」と考えて命名しましたが、結果的にはメディアで由来を聞かれることが増えたというエピソードもあります。


ダウ90000の結成秘話と経歴

ダウ90000結成の経緯は、メンバーの大学時代まで遡ります。蓮見翔を中心に日本大学芸術学部の学生で組んでいた演劇サークル「はりねずみのパジャマ」が前身で、在学中から学内外で演劇やコント活動を行っていました。蓮見が大学卒業を迎えた2020年、「このまま就職でバラバラになるのは嫌だ」と感じた蓮見は、「就職の予定がない人だけ残って」と呼びかけて仲間を集め、本格的にユニットを立ち上げます。こうして2020年9月27日、8人組ユニット「ダウ90000」が旗揚げされました。結成当初は60人規模だったサークルから選抜されたメンバーで構成され、当初10名ほどでスタートしましたが、2021年9月に2人が脱退して現在の8人体制に落ち着きました。結成時は融合事務所系列の「YOU GO sign」に所属していましたが、2024年9月に独立し、自ら設立した「KOHEN合同会社(オフィスカニバブル)」に移籍しています。

結成直後から月1回ペースでコントライブを開催し、精力的に活動を開始します。2021年1月末には 第一回本公演「フローリングならでは」 を上演し、小劇場ながら観客として訪れていた作家のいとうせいこうに高く評価されました。その公演は設定ミスで一年間オンライン配信されてしまったのですが、偶然それを視聴したテレビプロデューサーの佐久間宣行にも「面白い」と注目されるきっかけになったそうです。以降、定期的に演劇を主体とした「本公演」と、コントライブ形式の「単独ライブ」を交互に開催。2022年5月には初の単独ライブ「10000」を実施し、本公演・ライブともに回を追うごとに人気と動員を伸ばしています。例えば、第4回演劇本公演『いちおう捨てるけどとっておく』はチケットが発売開始10分で即完売する盛況ぶりでした。さらに演劇公演『旅館じゃないんだからさ』や『また点滅に戻るだけ』が岸田國士戯曲賞の最終候補にノミネートされるなど、演劇界からも作品性が評価されています。

お笑い業界にも徐々にその名が知れ渡り、賞レースやコンテストへの挑戦も話題となりました。結成翌年の2021年、「M-1グランプリ」に異例の5人組(蓮見+女性メンバー4人)という編成で出場し、1回戦を2位通過して準々決勝まで進出。奇抜な編成ながら漫才でも健闘し、観客を驚かせました。またコントの大会「キングオブコント」では、2022年大会で準々決勝、2023年大会と2024年大会で準決勝進出を果たし、着実に実力を示しています。中でも朝日放送主催の『ABCお笑いグランプリ』では2022年から3年連続で決勝進出し、2024年大会では第3位という好成績を収めました。こうした活躍から「Z世代の実力派8人組」として業界内外で注目され、南海キャンディーズの山里亮太や東京03のメンバーなど先輩芸人たちも絶賛する存在となっています。実際、東京03飯塚悟志はダウ90000のコントを観て「久々に衝撃を受けた」と語り、山里亮太も彼らをテレビ番組で「まるで仮装大賞を見ているよう」と評するほどでした(後にそのコメント通り、日本テレビ『全日本仮装大賞』にダウ90000が出場し話題に)。2022年9月にはフジテレビで初の冠ドラマ「深夜1時の内風呂で」(蓮見書き下ろし脚本)を放送し、メンバー総出でテレビドラマ主演も果たしています。2023年にはテレビ朝日で冠番組『週刊ダウ通信』がスタートするなど、メディア露出も増加しています。まさにデビューからわずか数年で、お笑いと演劇の両フィールドで急成長を遂げているユニットと言えるでしょう。


ダウ90000ネタの特徴とスタイル

ダウ90000のネタは、他の芸人にはない独自の笑いのスタイルを持っています。その最大の特徴は、演劇とコントの垣根を軽々と越える点です。「演劇」と「お笑い」の境界線を意識せず、物語性のある寸劇からベタなギャグまで自由自在に取り入れています。蓮見曰く自分たちの肩書きを「8人組」に留めているのも、「演劇かお笑いかどちらかに決めてしまうと表現の幅が狭まるから」であり、あえて枠にハマらないスタイルを追求しているのです。そのため、観客はまるで小劇場の演劇を観ているような緻密さと、ライブコントならではの笑いの即効性を同時に味わえるのが魅力となっています。

もう一つの特徴は、8人という大所帯をフルに活かしたネタ構成です。他の多くの芸人が2人組や3人組でネタを演じる中、ダウ90000はネタによって出演人数を柔軟に変え、シーンごとに適したメンバーが登場します。たとえば恋愛がテーマのコントでは男女全員が登場し、友人同士の何気ない会話劇では少人数で緊密なやり取りをする、といった具合に編成のバリエーションが豊富です。このおかげでネタごとに違ったカラーを出せるうえ、8人全員の個性を無駄なく活かすことができます。通常は登場人物が多いと4分程度のコンテスト漫才では散漫になりがちですが、ダウ90000の場合は多人数を活かし切る台本力と演出力で高密度の笑いを生み出しています。実際、フジテレビのプロデューサーも「ダウ90000の皆さんが生み出す絶妙な“間”の笑い、気まずかったり心地よかったりする人間関係の距離感、伏線を張りながら最後には全て回収する蓮見さんの構成力」に惚れ込んだと語っています。これはまさに彼らのコントの特徴を表す評価で、何気ない日常の一コマを題材にしつつも、緻密に計算された間合い巧みなストーリー構成で観客を「なるほど!」と唸らせる展開に仕上げているのです。

また、ダウ90000のネタには男女の何気ない日常“あるある”を題材にしたものが多く見られます。例えば、学生サークル内の微妙な人間関係を描いたコントや、カップルのやりとりのズレを笑いに変えたコントなど、一見普通の日常シーンに鋭い視点を入れて笑いを生むスタイルです。代表的なネタとしては、YouTubeで公開され人気を博した「ピーク」や「パンダを見るには早い方」、「まちがいさがし」などが挙げられます。これらの動画はいずれも数十万回以上再生されており、巧みな会話劇と8人の掛け合いの妙が「見事なアンサンブル」として評価されています。特に「パンダを見るには早い方」では8人が演じる大学生たちのやりとりがリアルで「自分の学生時代を思い出す」と共感を呼び、ネット上でも話題になりました。派手なボケや大声のツッコミに頼らず言葉の選び方や“間”で笑わせる高度なコントがダウ90000の持ち味と言えるでしょう。なお、メンバー全員が仲が良いことで知られますが、恋愛コントが多いためグループ内恋愛は禁止というユニークなルールもあります。「本当のカップルが恋愛コントをしているのは見ていられない」という蓮見の判断で決められたルールで、笑いのために徹底してプロフェッショナルに振る舞っているのも興味深い点です。


ダウ90000が影響を受けた芸人・ジャンル

8人という編成や演劇的なアプローチから、ダウ90000は従来のお笑いとは一味違う存在感を放っていますが、メンバーそれぞれに影響を受けた芸人やジャンルがあります。主宰の蓮見翔は幼少期からお笑い好きで、中でもさまぁ〜ずに大きな影響を受けたと語っています。さまぁ〜ずの持つ力まない脱力系の笑い、独特の間合いを好んで研究してきたようで、ダウ90000のコントにもどこか力を抜いてクスっと笑わせる雰囲気が漂うのはその影響かもしれません。蓮見自身、大学在学中には一時コンビを組んで漫才に挑戦していたほど漫才志向もあったため、漫才的なテンポや会話術も取り入れていると言えるでしょう。

一方で、演劇畑の出身らしく舞台劇からの影響も色濃く感じられます。メンバー全員が演技の基礎を学んでいるため、小劇場の会話劇やシチュエーションコメディの名作などからもインスピレーションを受けているようです。例えば東京03のようなシチュエーションコントの名手たちから学ぶ点も多いといいます。実際、東京03の飯塚悟志はダウ90000の第2回公演を観劇した際「演劇とコントのバランスが絶妙で驚いた」とコメントしています(※東京03飯塚は公演パンフレットでのコメントより)。こうした評価に見られるように、彼らの作風には東京03的な緻密さヨーロッパ企画的な演劇センスが融合しているとも言われます。さらに、南海キャンディーズの山里亮太はダウ90000を「これまでにない新ジャンル」と評価し、演劇ユニット「ヨーロッパ企画」主宰の上田誠も「彼らは演劇とコントのハイブリッドだ」と注目しています(※いずれもメディアコメントより)。このように先達の芸人や劇作家からも刺激を受けつつ、既存のジャンルにとらわれない笑いを追求しているのがダウ90000のスタイルです。

もちろん、メンバー個々にも好みはあります。例えば飯原僚也は幼少期から志村けんのコントに親しみ、あのコント番組の空気感を目標にしていたと言います。忽那文香や吉原怜那といった女性メンバーは、近年台頭している女性芸人(例えば阿佐ヶ谷姉妹や紅しょうがなど)のコントも研究対象にしているとか。こうした様々なバックグラウンドを持つ8人が集まり、お互いのセンスを持ち寄って作られるダウ90000のネタは、まさに新時代のエンタメの交差点と言えるでしょう。


最近の活躍と注目ポイント

結成から現在(※2025年)に至るまで、ダウ90000は目覚ましい活躍を見せています。まず直近のメディア出演として挙げられるのが、2024年6月に日本テレビ系人気クイズ番組『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』への出演です。8人全員でクイズに挑戦する姿はお茶の間でも話題となり、「あの大所帯の芸人は誰?」と一気に全国区で認知度を上げました。また同年、朝の情報番組やバラエティ特番への出演も増え、蓮見翔はトーク番組で的確なコメント力を発揮するなど個人としての露出も増加しています。

コンテスト面では前述の通り2024年『ABCお笑いグランプリ』で第3位入賞という快挙を成し遂げ、さらには『キングオブコント2024』でも準決勝に進出しました。あと一歩でテレビ決勝というところまで迫っており、「来年こそキングオブコント決勝進出か?」とファンから期待されています。彼らのコントは審査員からも「8人とは思えないまとまり」「完成度が高い」と評価されており、賞レース常連としてその名を轟かせています。

また、テレビドラマやラジオへの進出も見逃せません。2022年に放送されたフジテレビの冠ドラマ「深夜1時の内風呂で」は業界内で大きな反響を呼び、以降メンバー個々にも俳優としてのオファーが増えました。実際、中島百依子や忽那文香は連続ドラマにピンで出演したり、吉原怜那は人気バラエティ『ゴッドタン』で女優役を演じたりと、俳優・女優としての活躍も始まっています。演技力があるからこその幅広い活動であり、「お笑いもできる若手俳優集団」としても注目度が上がっています。

さらに、業界からの注目ポイントとして蓮見翔の存在が挙げられます。蓮見は2023年、「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」(世界を変える30歳未満の30人)に選出され、若手クリエイターとして表彰されました。蓮見自身は「コントと演劇を両方やっているのは不格好かと思っていたけれど、こうして評価してもらえて嬉しい」と語り、その受賞コメントからも分かるように演劇×お笑いの新たな可能性を切り拓く人物として評価されています。この受賞や業界評価はダウ90000全体のブランド価値も高め、「ただの芸人グループではなく新しいエンタメを作るチーム」として期待を背負っています。

他にも注目すべき最近の話題として、2024年9月から所属を独立させたことが挙げられます。自ら設立したオフィスカニバブルで活動を続けることで、より自由な企画・公演が可能となり、新たな挑戦がしやすくなりました。実際、独立後初の本公演『旅館じゃないんだからさ』(第六回公演)では大阪・近鉄アート館に進出し、関西でも公演を成功させています。これにより東京だけでなく全国区でファンを増やしつつあり、ネット配信なども活用して地方からの支持も集めているようです。

そして年末にはTBSラジオで特番『ダウ90000 その日のコント』が放送され、こちらも好評を博しました。番組のビジュアルには8人揃ってクリスマス衣装に身を包んだ写真が使われ、SNS上で「可愛い!」と話題に。こうしたビジュアル面での魅力も含め、若い世代からの支持が厚いのもダウ90000の強みでしょう。

このように、テレビ・ラジオ・舞台と最新の活躍が目白押しのダウ90000ですが、その一つ一つが「お笑い第七世代」に続く新世代の旗手としての存在感を示しています。


まとめと考察

最後に、ダウ90000の魅力を改めて振り返り、今後のお笑い界でのポジションを考察します。まず何と言ってもダウ90000の魅力は、8人という人数と演劇仕込みの表現力で生み出す唯一無二のコントです。身近な日常を切り取ったネタでありながら、予想外の展開や緻密な構成で笑わせるスタイルは、一度観たらクセになる「癖強」な面白さがあります。男女混合ユニットだからこその多彩なキャラクター同士の化学反応があり、観客は毎回新しい発見と驚きを楽しめます。「劇団でも芸人でもない新しい笑いの形」というキャッチコピーは伊達ではなく、その独自路線が多くのファンを惹きつけている所以でしょう。

ダウ90000の人気は今まさに急上昇中で、既に劇場ライブのチケットは即完売、YouTubeチャンネル登録者も増加の一途です。先輩芸人や演劇界からの評価も高く、「次にブレイクするのはダウ90000」という声も各所で聞かれます。実績的にも賞レース決勝進出の常連となり、メディア露出も増えていることから、今後さらに知名度とファン層を拡大していくことは間違いないでしょう。

今後のお笑い界において、ダウ90000は新たなポジションを築く可能性があります。伝統的な漫才・コントの枠にとらわれない彼らは、第7世代以降の「第Z世代芸人」として、お笑いと演劇の融合路線を切り拓いています。将来的には、かつてのドリフターズやシティボーイズのようにグループコントの一時代を築く存在になるかもしれません。ただ笑わせるだけでなく、作品としての完成度や物語性も備えているため、テレビのコント番組のみならず配信ドラマや舞台公演など多角的に活躍できる強みがあります。実際、蓮見翔は「いつか自分たちのお笑い劇場を持ちたい」という大きな夢を語っています。自前の劇場を持ち、自分たちのプロデュースでライブを開催し、好きな芸人や劇団を招いてイベントを行う――そんな新しいエンタメ拠点を作る野望があるのです。これはお笑いファンにとっても非常に楽しみな展望と言えるでしょう。

総じて、ダウ90000は現在のエンタメ界において極めてユニークでポテンシャルの高いユニットです。8人のチームワークと蓮見翔の卓越した脚本力で、既存のお笑いファンはもちろん演劇ファンや若いカルチャー層まで巻き込みつつあります。このコラムで挙げた結成秘話から最新動向までの物語を追っていくと、彼らがいかに計画的かつ情熱的に活動を展開しているかがお分かりいただけたと思います。今後はテレビでの冠番組のレギュラー化や、更なる賞レース制覇、そして夢の劇場設立など、期待は尽きません。ダウ90000の魅力を再確認しつつ、これからお笑い界で彼らがどんなポジションを築いていくのか、ぜひ注目していきましょう。きっと近い将来、「お笑い第○世代」を超えた新たなムーブメントの中心に、ダウ90000の名前が輝いているに違いありません。


参考サイト

  • ダウ90000 - Wikipedia
  • 演劇とコントでエンタメ界を席巻。ダウ90000、メンバー全員ロングインタビュー|Pen Online
  • ダウ90000の名前の由来は?(「「小学5年生より賢いの?」に出演/2024/6/14放送) | 花あそびノート
  • 今の夢は「いつかお笑いの劇場を持つこと」(ダウ90000・蓮見翔)〖後編〗
  • ダウ90000(だうきゅうまん)の由来や意味は?結成秘話とメンバーの関係性についても! - みゆママの自由気ままブログ
  • フジテレビでダウ90000の冠ドラマ放送決定、8人に勝村政信も加わる
  • 小田凱人、Kroi、ダウ90000蓮見翔らが受賞!「Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2023」受賞者発表セレモニーを開催! | リンクタイズ株式会社のプレスリリース
  • Z世代の8人組コント「ダウ90000」のスゴい実力 南キャン山里や東京03も絶賛、ABC決勝に進出も | ゲーム・エンタメ | 東洋経済オンライン
  • ダウ90000メンバーの大学や年齢を紹介!名前の由来や結成秘話も! | お笑いのあれこれ。
  • 〖ダウ90000〗メンバーの出身大学や名前を徹底調査!意外な経歴も?
  • ダウ90000の初冠ドラマ『深夜1時の内風呂で』放送決定 勝村政信が共演、脚本は主宰・蓮見翔、主題歌はYONA YONA WEEKENDERS | TV LIFE web
  • この記事を書いた人

    著者アイコン

    ネタフリ編集部

    芸人の公式YouTubeのネタまとめ、気になる芸人の特集記事をお届けします。